ITの過去から紡ぐIoTセキュリティ

相次ぐルーターへの攻撃、厄介なのは「気付きにくい」こと(4/4 ページ)

 今回の攻撃ではDNS情報が書き変えられましたが、ルーティング情報自体が書き変えられる恐れもあるということです。

 17年8月、日本から海外へのネット接続に大きな問題が生じたことを覚えているでしょうか。この障害の原因は、米GoogleがBGP(Border Gateway Protocol)というルーティングプロトコル運用でミスをおかしたことでした。しかし、BGPで意図的に誤った経路情報を流すことで、トラフィックが本来の宛先とは無関係な他者に誘導され、盗聴される恐れがありますし、海外ではそうした攻撃を指摘した事例もあります。

photo 2017年8月、Googleのネットワーク誤設定が原因で、ネットサービスにアクセスしづらい障害が発生した=8月25日当時の「ダウンディテクター」障害情報より

 ITの世界でもIoTの世界でも、私たちは、バックグラウンドで動作するDNSや経路の情報を信頼し、それと意識することなく利用しています。そうでなければこんなに簡単にネットに接続し、その恩恵を受けることなどできなかったでしょう。シンプルで他者を信じる仕組みに基づいてインターネットは運用されており、そこには危うさも潜んでいるのだということを、あらためて認識させられる出来事だったのではないでしょうか。

著者:高橋睦美(たかはし・むつみ)

一橋大学社会学部卒。1995年、ソフトバンク(株)出版事業部(現:SBクリエイティブ)に入社。以来インターネット/ネットワーク関連誌にて、ファイアウォールやVPN、PKI関連解説記事の編集を担当。2001年にソフトバンク・ジーディーネット株式会社(現アイティメディア)に転籍し、ITmediaエンタープライズ、@ITといったオンライン媒体で10年以上に渡りセキュリティ関連記事の取材、執筆ならびに編集に従事。14年8月に退職しフリーランスに。

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ITの過去から紡ぐIoTセキュリティ

家電製品やクルマ、センサーを組み込んだ建物そのものなど、あらゆるモノがネットにつながり、互いにデータをやりとりするIoT時代が本格的に到来しようとしています。それ自体は歓迎すべきことですが、IoT機器やシステムにおける基本的なセキュリティ対策の不備が原因となって、思いもよらぬリスクが浮上しているのも事実です。 この連載ではインターネットの普及期から今までPCやITの世界で起こった、あるいは現在進行中のさまざまな事件から得られた教訓を、IoTの世界に生かすという観点で、対策のヒントを紹介していきたいと思います。

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