アニメに潜むサイバー攻撃
「ルパン三世 PART5」に隠された“凄腕ハッキング”の手口 専門家が解説(3/5 ページ)
F: 前にも話したことですが、日々いかにしてサイバー攻撃から国民や政府を守るかとか、逆に攻める側の視点に立ってどのように攻撃できるかばかり考えていると、全てのことをサイバー攻撃に絡めて考えてしまいます。常にそういった状態でアニメを見る。中途半端にサイバーセキュリティネタを取り入れていたりすると、気になって気になってストーリーが頭に入ってこないわけです。「チャウやろ!」みたいに。
K: じゃあ、最近はアニメ見てもほとんど楽しめないんじゃ。
F: サイバーセキュリティが全然関係なく、かつ頭を真っ白にしてくれるぐらいの物でないとダメですね。そういった中でルパン三世 PART5は安心して見ていられます。脚本家の方はサイバーセキュリティのプロではないかもしれませんが、きちんと調べて、できること、できないことの線を見極めていて、拍手を送りたい!
K: おお!
F: さきほどのアミ↑のデフォルトパスワード攻撃もそうですが、そもそも騒動の発端となった、ダークマーケット「マルコポーロ」からバックドア経由で仮想通貨を盗み出した話……。
K: 580億円仮想通貨流出事件!
F: 多額の仮想通貨を、オンラインのハッキングでは盗めないコールドウォレットに入れてなかったところは、“あの事件”そっくりです。
それから航空会社のカウンターの人間が搭乗員名簿をあさって、ルパン、次元、五ェ門、アミ↑の4人に相当する、男3人と女1人のグループが予約していると、ネットに投稿するシーン。
K: レストランの従業員がTwitterに有名人が来たと投稿しちゃうやつ!
F: 事件ではありませんが、アミ↑がネットを利用するときにピアス型の音声認識デバイスにかけるコマンド『Hello Underworld』は?
K: AIエージェントのウェイクアップワード「Hey Siri」や「Ok Google」ですね!
F: それに、プログラマーなら誰しも最初に取り組む「Hello Worldの表示」と掛けている。ハッカーなのにキーボードをバチバチやらないで、音声認識インタフェースとタブレットで操作しているのもクールですね。そして最も笑えたのは、遺跡でルパンと大勢の殺し屋が対峙するときに、その1人が「ワトソンによれば、ヌルバル族の住居遺跡にはハッキングで操れる物はない」と言ったことですね。おおお、こいつIBM Watsonを活用しているんだ! と思いました。
K: IBM Watsonといえば、2011年にクイズ番組で優勝していますよね。クイズ王になれるぐらいですから、そういうこともできるんですね!
F: ……と思うでしょ! ところがどっこい、この「ワトソン」は、作中に登場した私立探偵の人物が作った犯罪推理コンピュータで、IBM Watsonよりも遙か昔に登場していたんです。原作漫画のネタなんですね。これは制作陣がIT関係者を“釣って”、どや顔で「IBM Watsonを使っているよ(笑)」と言わせるためだと見た! ルパンだけに!
K: で、その情報はどこから?
F: ……Wikipediaからです。
K: 「ネットにつなげば誰でも博士になれるわ。後は検索の仕方だけ」(アミ↑のせりふ)ですね。
F: はい(´・ω・`)
ルパン式“炎上”対策
F: 作中、あえてダークウェブをディープウェブと言い換えているようですが、その中にある非合法のダークマーケット「マルコポーロ」にもモデルがあります。
K: 「SilkRoad」(シルクロード)ですね。
F: そのリアルなSilkRoadの事件。マーケットは暗号化されたダークウェブにあるので、正攻法では運営者が分からなかった。しかしリアルの世界でのちょっとした油断から正体が判明して逮捕されます。それに似ているマルコポーロの運営者3人は印象深かったですね。
K: 小心者でしたしね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
アニメに潜むサイバー攻撃
サイバー攻撃は、時代に合わせ、攻撃の対象や手口が変化してきました。しかし近未来の世界、最新技術へのセキュリティ対策はイメージしにくい部分もあります。そこで、そう遠くない未来、現実化しそうなアニメのワンシーンをヒントに、セキュリティにもアニメにも詳しい内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の文月涼さん(上席サイバーセキュリティ分析官)が対策を解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
2
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
3
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
4
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
5
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
6
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
7
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
8
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
-
9
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
10
「漏えい」の一言で素通り客が振り返る──相次ぐ情報流出の中で開幕のセキュリティ展示会 来場者の態度も激変
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR