「何のためのAIか考えて」 ゲームAIの実装で重ねた苦労、DeNAが伝えたい“4つのポイント”(1/2 ページ)
「AIをビジネスに実装する大変さを日々痛感している」――ディー・エヌ・エー(DeNA)でゲームAI(人工知能)の開発・実装などを担当する奥村エルネスト純さん(システム本部 AIシステム部AI研究開発第三グループ AI研究開発エンジニア)は、こう話す。奥村さんは、2月6日に東京・渋谷で開催された技術者向けイベント「DeNA TechCon 2019」に登壇し、AIプロジェクトを進める上で重要な4つのポイントを説明した。
奥村さんは、同社のスマートフォンゲーム「逆転オセロニア」にAIを導入するプロジェクトを進めてきた。同社はこれまでもゲームAI開発や実装について社内外で発表してきたが、使用したデータやAI技術の詳細、PoC(概念実証)の話がメインだった。今回は、実際に逆転オセロニアにAIを導入し、運用を続けた実績を踏まえ、AIプロジェクトの進め方や、注意すべき点などを振り返った。
「当たり前が一番難しい」 必ず押さえたい4つのポイント
奥村さんは「当たり前に思えるようなことが一番難しい」とし、AIプロジェクトで意識した4つのポイントを挙げた。
- スモールスタートで始める
- AI部門と事業部門で期待値を合意する
- AIチームの役割を分散する
- 目的を見失わない
その1:始まりはスモールスタートで
まずは、スモールスタートで進めることの重要性について。AIという新しい分野に取り組む際は、そのプロジェクトがどれほどの成果を上げ、事業にどの程度のインパクトを与えるかなどは、実際に開発してみないと分からないことがほとんどだ。
奥村さんは「AIプロジェクト最大の課題は不確実性。見積もりも完璧にできず、先が見えない中で期待値ばかりふくらむとリスクが高い」と話す。
こうした課題を解決するため、同社では「そもそもゲームAIは作れるのか」「勝率を上げることは可能か」といった具合に課題を細かく分解し、それぞれのプロジェクトで工数と予算を算出した。細切れにした各プロジェクトを3カ月単位で検証していくことで、不確実性をつぶしながら継続の判断と工数・予算の調整ができるようになり、意志決定も円滑に進んでいったという。
その2:期待値の合意
そして、AIプロジェクトで問題になりがちなのが、AI部門と事業部門における「期待値のズレ」だ。事業部門が過度にAIへ期待するケースもあり、「期待していた成果が得られていない」とがっかりされる例も少なくない。
奥村さんは「AIのパフォーマンスは不確実性があるので、結果に一喜一憂しないこと。不確実性の度合いはしっかり認識を合わせておくべき」と強調する。
同社では、その時点で現実的に着地しそうな「現実ライン」、想定通りの精度が出なかった場合の保守的な見通しである「最低ライン」、プロジェクトとして最大限、夢を持ったときの考え方である「理想ライン」の3つを両部門で共有し、認識をすり合わせた。
奥村さんは「特に最低ラインに関する認識が大切」と話す。「AIの精度が上がらなかったときは事業部門とのディスコミュニケーションも増えるので、最低限超えそうなベースラインの認識は重要。何の知見も残らないという最悪の結果は避けたい」(奥村さん)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
2
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
3
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
4
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
5
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
6
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
7
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
8
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
-
9
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
10
「漏えい」の一言で素通り客が振り返る──相次ぐ情報流出の中で開幕のセキュリティ展示会 来場者の態度も激変
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR