これからのAIの話をしよう(AIベンチャー対談編)
「AI人材がいません」「とりあえず事例ください」 困った依頼主は“本気度”が足りない AIベンチャーの本音(2/4 ページ)
マスクド しかし、日本企業が社内の規定を無視してそういった新しい人材に高額な報酬を出せるでしょうか。
田中 トップ中のトップ人材はいまだに高給ですが、トップ校出身で新卒800万円だとどうでしょう。良い人材はいると思いますよ。弊社ではGitHubで見つけた海外の優秀な学生に声を掛けて月10万円~ぐらいで手伝ってもらっていますよ。いままで遠隔で手伝ってくれていたトップ校のインド人の子が弊社に来ますし、ジェフリー・ヒントン教授(世界的に著名なディープラーニングの研究者)に学んでいた学生が手伝ってくれていたこともあります。
マスクド 世界に目を向けないと損ですね。
―― ところで、「AI人材」といわれる人にはどのような能力が求められるのでしょうか。
マスクド ビジネス系人材と技術系人材の橋渡しをする必要があるので、数学だけじゃなく国語力も欠かせないでしょう。求められるハードルはとても高いので、給料が高くて当たり前なんですよね。弊社も複数名のチームを組んで対応していて、苦手なところは得意な人に任せるようにして、ようやく回せてます。
田中 AIってディープラーニングという技術がすごいと思われてますけど、GitHubを見たらコードは大体ありますし、(コードの内容が)分からなかったら本人に聞けばいい。それよりもビジネス化に関していえば、ディープラーニングで学習させるデータの質の方が精度への影響は大きいですよ。
最先端技術は研究レベルで1%の精度を競っている場合が多い。現状を踏まえると、そういった部分は海外のオープンソースに頼み、日本ではデータの前処理に力を入れた方が現実的だと思います。
マスクド どれほどデータが大事だと言っても、アルゴリズムだディープラーニングだと言ってる人はいますね。プログラムで物が動くという旧来の情シス発想の人は多い。
田中 そうですね。例えばTwitterで投稿された文章をAIで解析することを考えてみましょう。そこに辞書にない顔文字が入っているとうまく文章を認識できないので、文章から顔文字を取り除くか、顔文字を学習データとして登録するかしないといけません。
でも学習データを作るのが大変で、どのように顔文字と定義するかを決めないといけない。いかにして顔文字を顔文字として認識するアルゴリズムを考えるかは、それだけで1つの研究になります。前処理は最先端技術ではないですが、こういった細かいアルゴリズムの複合体で、ディープラーニングにデータを読み込ませるためにはすごく重要で精度に大きく影響します。前処理で自動化できない部分に関しては、手作業でデータを精製することもあります。
ディープラーニンングの新しい技術は、論文が発表された数カ月後にGitHubに上がってたりするので、それを使えばいいと思います。
マスクド 結局、求める能力って突き詰めれば「目利き」になっちゃうんですよね。AIに限らず、特定の状況でどういう選択肢を取るのが最適かを考える上で、どれだけ引き出しがあるか。それがすごく大事なんです。
例えば手書き文字の解析で言うと、田中さんであれば全ての手書き文字に対応できるようにするにはどうしたら良いか研究目線でアプローチをするでしょう。僕であればビジネス目線で「業務フロー自体を変えてはどうか」とアプローチをすると思います。
「すごい技術=ビジネスになる」わけではない
―― 田中さんは研究者として技術的なトレンドも追い続けています。ビジネスを抜きにして、いま最も面白いと考えている領域はありますか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
これからのAIの話をしよう
いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR