ITの過去から紡ぐIoTセキュリティ
Windows XPへの「例外措置」、サポート終了なのに繰り返される理由は?(3/3 ページ)
サポート切れOSへの対応は、高齢者の免許返納制度に似た部分があるのではないかと思います。身体・認知能力の衰えを考えると免許返納がベストですが、そうすると、買い物や通院といった日常生活が成り立たず、やむを得ず運転を続ける高齢者が、特に地方では多いと聞きます。遠回りですが、周囲からその危険性を説得し、また移行しやすい代替手段も提供して、今の状態を続けることのリスクを本人に認識してもらうことが大切なのでしょう。
OS移行も同じように、多面的な取り組みが必要だと思います。今回のように、リスクや影響があまりに深刻な場合は例外的な措置を取りつつも、それに甘んじることなく「最新のOS、最新の環境を利用すべき」という認識を繰り返し伝え、代替手段も紹介しながら、古い環境からの移行を後押ししていかなければなりません。それでもどうしても使い続けたいという場合は、絶対にインターネットにつなげない環境で使う、もしくはせめて例外措置で提供される更新プログラムは必ず適用し、追加のセキュリティ対策も導入して守るなど、自分はもちろん周囲にも影響の及ばない折衷案を取るのも1つの手でしょう。
意識していない、把握していないデバイスにもリスクが潜む
今回の緊急措置で修正される脆弱性(CVE-2019-0708)は、リモートデスクトップサービス(RDS)に存在するものです。リモートアクセスや監視用に広く利用されている機能ですが、そこで利用される「RDP」というプロトコルで細工を施したリクエストを送信すると、リモートから任意のコードを実行できてしまう恐れがあります。
このRDPはPCのみならず、IoT機器や組み込み機器、さらに産業用制御機器でも広く利用されており、それゆえに実際に、いくつかのIoTボットやマルウェアに悪用されています。海外では、納入したベンダーが遠隔サポートのために、導入企業すら認識しない形で使われているケースがあり、それがランサムウェアや他のマルウェアなどさまざまな侵害の足掛かりになっているのです。
古いWindows OSに関してもう1つ注意が必要なのはここです。オフィスで使われるデスクトップPCについてはきちんと台帳を作り、把握していても、IoTや組み込み機器でどんなWindowsが動いているのか、サポート期限は切れているのか、それはネットワークにつながっているのか……といった事柄には無頓着な場合が少なくありません。
使っている方は無頓着でも、攻撃する方は、ShodanやCensysなどの検索エンジンを使って脆弱な機器を容易に特定できてしまいます。認識していないデバイスも、同じようにリスクにさらされていることをぜひ意識していただきたいと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ITの過去から紡ぐIoTセキュリティ
家電製品やクルマ、センサーを組み込んだ建物そのものなど、あらゆるモノがネットにつながり、互いにデータをやりとりするIoT時代が本格的に到来しようとしています。それ自体は歓迎すべきことですが、IoT機器やシステムにおける基本的なセキュリティ対策の不備が原因となって、思いもよらぬリスクが浮上しているのも事実です。 この連載ではインターネットの普及期から今までPCやITの世界で起こった、あるいは現在進行中のさまざまな事件から得られた教訓を、IoTの世界に生かすという観点で、対策のヒントを紹介していきたいと思います。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
2
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
3
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
4
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
5
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
6
「楽天ドライブ」に不正アクセス 保存したデータなど1.5万アカウント分が取得・閲覧のおそれ
-
7
たばこ休憩なき時代の“一服”をどう取るか 温熱と“聞こえない音”で休む、JT子会社のアイマスクを試す
-
8
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
9
「能動的サイバー防御」きょう開始 警察・自衛隊などが攻撃元サーバを無害化 高市首相も狙いを説明
-
10
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR