ハロー、自作キーボードワールド 第1回前編
なぜ日本で「自作キーボード」が流行り出したのか そのきっかけを振り返る(2/2 ページ)
「ErgoDox」や「Planck」の到来
一つは、海外でユニークなキーボードの部品やキットが登場し、一部の人達によって日本へ輸入されたことだ。
海外では2010年代ごろから、オリジナルキーボードの開発や組み立てがコミュニティ内で行われていた。その中でも新たなキーボードを開発する人たちの手によって生み出された「ErgoDox」や「Planck」は、エルゴノミクスやコンパクトさを追求した目新しさが特徴だ。
日本でも、「ウェブ魚拓」の開発者で「握力王」としても知られる新沼大樹氏が、ErgoDoxを使用する様子が16年ごろに一部で話題になった(新沼氏自身は別の左右分離式キーボードを利用していた)。これらのキーボードは、市販品には見られない見た目や打鍵感を持つカスタムキーボードの先駆けとして今でも人気を集めている。
オープンソース文化が好影響
もう一つはハードウェア/ソフトウェアにおけるオープンソース文化の影響だ。趣味性が高い自作キーボードは、キーボードの基板などハードウェアの図面が公開されていることが多い。
キーボードを動作させるファームウェアについても「QMK Firmware」を始めとしたオープンソースプロジェクトが人気で、キーボードを設計するためのツールなども無償で公開されている。ハードウェア/ソフトウェアの設計コストを大幅に抑えられるため、多くの人が参入しやすい環境が整っているといえる。
「Let's Split」派生の左右分離キーボードが国内で登場
とりわけ日本国内では、カスタムキーボードに先立って、自作キーボードの基板を各開発者がイチから設計し、その知見が発展してきたという独特な経緯がある。
海外掲示板RedditのユーザーであるWootpatoot氏が開発した、「Let's Split」という左右に分離した48キーのコンパクトなキーボードが、2017年ごろに国内の一部の人たちの間で流行し、組み立ての知見(ビルドログ)が多く公開された。
Let's Splitは当初設計図を公開していなかったものの、構造がシンプルだったため解析が行われ、ここから派生して「Helix」「Crkbd」「Ergo42」「Fortitude60」など、日本人による設計の自作キーボードが多く生まれるに至った。
日本国内で左右分離式の個人設計のキーボードが多いのも、このような経緯がある。
同人ハードウェアを販売しやすい環境も
他にも、日本ではハードウェアを同人作品として発表できる土壌が整っているため、個人が設計した自作キーボードキットを小ロットで頒布・販売しやすい。このこともオリジナル設計の自作キーボードが盛り上がった要因として考えられる。
近年では国内のユーザー数が一気に増えたことによって、カスタムキーボード用の部品も含めた豊富なパーツを簡単に入手できるようになった。ネットショップだけではなくリアル店舗も出来たことで今後もユーザー数は広がっていくと思われる。
ここまで、自作キーボードの魅力や日本の自作キーボードブームのきっかけ(2016~2017年まで)を振り返った。後編では、2018年からの急激な盛り上がりの経緯や、これから自作キーボードを始めたい人向けの入門法をお伝えする。
(後編に続く)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ハロー、自作キーボードワールド
自作キーボードの作者であり、キーボード関連のニュース動画「ほぼ週刊キーボードニュース」を配信するぺかそとびあっこが、自作キーボードの世界の“入り口”を紹介していく。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
陸自が「イオンモール熊本」内部をドローン撮影 防衛省が映像公開
-
2
PayPayアプリで熊本地震への寄付が可能に 最短3ステップ・1円から
-
3
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
4
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
5
熊本「通れた道」マップ、トヨタが公開 ホンダも「通行実績情報マップ」
-
6
熊本で非常時Wi-Fi「00000JAPAN」発動中 KDDIが無料開放、他社ユーザーも利用可
-
7
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
8
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
-
9
Anthropicのミュトス、暗号アルゴリズムの新たな攻撃法を発見――耐量子署名「HAWK」の強度を半減
-
10
“脳のゴミ”は鼻から捨てられていた? 老化で詰まる排出路、薬を鼻から投与で改善 韓国主導チーム研究
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR