国土地理院のWeb地図に「自然災害伝承碑」 先人が遺した教訓を生かす(1/2 ページ)
災害大国といわれる日本。昔から台風や洪水、地震、火山の噴火など、さまざまな自然災害に見舞われてきたこの国では、その記憶を失わないよう、災害時の様子や教訓などを石碑などに遺してきた。そのような先人たちのモニュメントを、国土地理院が6月から「自然災害伝承碑」として地図に掲載する取り組みを始めている。
この取り組みでは、全国の自治体と国土地理院が連携し、新たな地図記号を決めて同院が提供するWeb地図サービス「地理院地図」に自然災害伝承碑の掲載を始めた。9月にはこの地図記号を掲載した初めての2万5千分1地形図も刊行している。
小特集:地図に学ぶ
- もう他人事じゃない ハザードマップで自宅の浸水リスクを知る
- 古地図に記された災害の記憶 旧地名はスマホで確認できる
- 国土地理院のWeb地図に「自然災害伝承碑」 先人が遺した教訓を生かす
著者紹介 片岡義明(かたおか よしあき)
専門新聞社や出版社勤務を経て、1999年よりフリーランスライターとして活動。ITの中でも地図や位置情報を中心テーマとして取り組む。測量士。
災害の記憶を後世に
地理院地図の画面で、左上の「情報」をクリックし、表示された情報リストの中から「自然災害伝承碑」を選ぶと、「洪水」や「土砂災害」「高潮」「地震」「津波」など災害の種別リストが表示される。いずれかを選択すると地図上に自然災害伝承碑の地図記号が現れる。
地図記号をクリックするとウインドウがポップアップし、災害名や写真が表示される。詳細情報を見るときは画像をクリック。碑名や災害発生時期、所在地、碑の建立年などに加えて、伝承内容の説明も掲載されている。
説明文は、碑文の内容に死者数や損壊した建物など被害の規模を示す情報を補足し、100字程度に要約したもの。古い石碑は字が読みにくいことも多いが、自然災害伝承碑の情報は簡潔に要約されていて分かりやすい。
洪水関連の自然災害伝承碑の中には、水没したときの水位を記したものもある。例えば埼玉県の長瀞町にある「寛保洪水位磨崖標」(かんぽこうずいいまがいひょう)は、江戸時代の豪雨で荒川が氾濫した際、この場所まで水没したことを示している。
周囲は秩父盆地で唯一の水の出口で、極端に川幅が狭くなっている。寛保2年(1742年)、旧暦の7月27日から4日間も続いた大雨により、川の水位は18メートル上昇、流域一帯に大きな被害を与えたといわれている。地元の有志、四方田弥兵衛と滝上市右衛門は、山ぎわにある岩に、そのとき最も高かった水位を示す「水」の文字を刻んで後世に残した。地理院地図では、このような先人が遺したメッセージが各地に存在していることが分かる。
自然災害伝承碑は、6月の初公開以降も順次追加されており、11月5日の「世界津波の日」に合わせ、新たに津波災害関連の自然災害伝承碑も掲載された。11月現在、43都道府県120市区町村の372基の情報が公開されている。同院によると、今後も市区町村に情報提供を呼びかけ、定期的に情報を公開、更新していくという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
4
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
5
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
6
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
7
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
8
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
9
「若手はAI使うな」は“老害”なのか? 新人教育で「AI禁止」した企業の1年後
-
10
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR