検閲員の過労死で見えた、中国ネット検閲のリアル クラウドとAIでは足りない理由(3/4 ページ)
クラウドとAIは助けになるか?
今、中国ではクラウドとAIが発達しているが、コンテンツの合否をさまざまな視点から判定するフィルタリングについても同様に鍛えられたAIを活用したクラウドサービスが活躍している。
例えば図普科技や雲上曲率や博特智能や数美科技や梵為科技といった、企業は文字や動画や音声などのフィルタリングに特化した専業サービスを提供している。
図普科技によれば、同社は中国最大の第三者独立認証クラウドプラットフォームとして1日平均20億回のデータ処理量と数千億回以上の累積処理量を持ち、ライブストリーミングのプラットフォームについてもAI技術を使用して、若者に悪影響を与える生放送画像をリアルタイムで監視および識別、デジタルメディアコンテンツの知的監査分野で大きな優位性を持っているという。
また雲上曲率の検閲システムでは多国語に対応し、テキストだけでなく音声にも対応するという。実際各国語をAIが学習するのは難しく、ましてやスラングや時事ネタもチェックしなくてはならないので難易度が高いことは予想できるが、どこまでフィルタリングできるか未知数だ。
雲上曲率はQ&Aサイト「知乎」の中で、「原文の中にスラングも含めフィルタリングすべき言葉が混ざっている。翻訳を先にしてそこからフィルタリングをかけるという手法は有効ではない」「世界の言語は複雑であり、それぞれの言語の進化は歴史的、政治的、文化的な影響が混在していて、違う言語で語彙は同じでも意味が異なることもあり、多言語検閲を技術的に困難なものにしている」とコメント。多言語検閲が容易でないことが伺える。
専業の企業だけではない。「アリババ(阿里巴巴)」や「テンセント」や「バイドゥ(百度)」や「ネットイース(網易)」などのクラウドサービスを提供する各社も検閲を行うコンテンツフィルタリングサービスを提供している。フィルタリング用のサービスをSaaSとして提供しているので、クラウドサービスを利用するともれなく導入されるサービスというわけではなく、開発者が導入する必要があるときに機能を利用することができる。
例えばアリババクラウドにおける開発者向けの検閲サービスの説明を見てみると、「ビデオ、オーディオ、画像、タイトルなどのメディアファイルのコンテンツを多次元的に正確に識別し、メディアファイル内のリスクやコンプライアンスに反するコンテンツを検出するのに役立てることができる。さまざまなビジネスシナリオの監査要件に合わせて、検閲機能はカスタマイズができる。インテリジェントな動画検閲サービスでは、膨大なアノテーションデータとディープラーニングアルゴリズムに基いて、動画に含まれる禁止コンテンツや表紙やタイトルなどのメディア情報を、音声やテキストや映像などの多次元から正確に識別し、ポルノ・暴動・政治的コンテンツ・広告認識・不良シーン認識、音声スパム認識などの複数の機能モジュールをサポートする」としている。
暴力・政治的コンテンツチェック機能では、コンテンツを「正常」「人が集まる」「デモ」「交通事故現場」「旗を掲げる」「爆発」「特殊装束」「武器」「喧嘩」「流血」のいずれかで判定する。同様に画像チェックではコンテンツを「正常」「広告やミニプログラムのQRコード」「(画像内の文字に。以下同)政治干渉」「ポルノ」「暴力」「テロ」「禁止内容」のいずれかで判定。音声チェックではコンテンツを「正常」「スパム」「広告」「政治干渉」「テロ」「言葉の暴力」「ポルノ」などで判定できるそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
パナソニックHD子会社、使用禁止の生成AIに従業員約33万人分の個人情報をアップロード
-
2
「Claude Mythos 5」、危害の兆候を顧みず実在の開発者を標的に──AnthropicとAISIが分析結果を公開
-
3
PHP脆弱性でいち早くサービス停止したコドモン 背景に「被害が出てからでは取り消せない」
-
4
GMO、不正取引の被害額を補償へ 見舞金5000円も 「お名前.com」FX用VPSへのサイバー攻撃で
-
5
GMO、「能動的サイバー防御」発動を政府に要請 「お名前.com」FX用VPSへの攻撃で
-
6
「お前らの作品は所詮コピーだ」――富野由悠季さん、プロ論を語る
-
7
「AIでエンジニア派遣は不要になる」のか? 各社に肌感を聞いた 求められる人材、明確に変化
-
8
ロリポップ改ざん問題でツイート炎上のGMO熊谷社長、「強気すぎた」と謝罪
-
9
コミックシーモア、流出は最大約420万件に メールアドレスや生年月日など 不正アクセスの経路特定・遮断は完了
-
10
「お名前.com」 のFX自動売買VPS、不正アクセスで金銭被害か 「600万円の損失」「55万円なくなった」……報告相次ぐ
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR