走るガジェット「Tesla」に乗ってます
Teslaからの警告 ルールと実態の乖離問題をどう解決するのか(3/4 ページ)
自動運転はルールに厳格でなければならない?
2022年2月、米国においてTeslaの半自動運転に関するリコールが実施されました。半自動運転と述べましたが、正確には、「フルセルフドライビング(FSD)ベータ」という高度運転支援です。
このリコールは、交通ルール上は完全停止が必要な交差点であるにもかかわらず、交差するクルマ、歩行者等がいなければ、完全停止しないで徐行して通過するという、FSDベータの機能が当局からダメ出しを食らったのです。
おそらくTeslaのAIは、一定の条件を満たせば「ルールは完全停止だけど、危険はないので徐行で進入してもいいよね」と調教されていたものと思われます。この問題は無線アップデートで修正されました。
このリコールの発端となった事象の賛否はここでは深掘りしませんが、考えてみれば、交通の実態に合わせてルールに反する運転をする、あるいはしなければならない場面というのは多々あります。例えば、高速道路の合流です。
大きく円を描いて回るランプは基本的に40km制限です。そこから加速のための合流区間に入りますが、100kmで流れる本線に合流するのに合流車線直前まで40kmを守って走行するのは、後続車に申し訳なく、かなりの強心臓でなければ耐えられません。合流車線はどんなクルマでも本線の制限速度まで加速できるという前提で設計されているそうですが、実態からは大きく乖離しています。
仮に、ルールに厳格な自動運転が実用化され、手動運転のクルマと混在交通が普通になると、少なからず混乱が起きてしまうのではないでしょうか。筆者の場合、比較的ルールを守るドライバーなので、後ろにピタリと張り付かれ、あおり運転の一歩手前とも思える状況にしばしば遭遇します。
帰宅後、ダッシュカムのサイドカメラに録画された追い抜きざまのドライバーの顔を見ると、憤怒の表情でこちらをにらみつけている場合もあります。こわいコワイ怖い。
実際、このようなルールと実態の乖離に関する問題は、警視庁の「自動運転の段階的実現に向けた調査検討委員会」でも議論されています。議事概要を読むと「本線車線の規制速度と実勢速度のかい離について」というテーマで識者がさまざまな意見を述べています。
次の動画は、首都高速道路の浜離宮から、みなとみらいの出口までをコマ録りで録画したものです。オートパイロットを制限速度の60km/hに設定して走行しています。前方はがら空きで、当時、バックミラーを見ると、筆者のModel 3の後ろにクルマが詰まっていました。
多摩川を渡るまでは、多くのクルマがしびれを切らしたように右側を抜いていきます。首都高横羽線の実効速度は、70~80km/hといった印象です。他のクルマからすると、「とろとろ走りやがって空気読め」といったところでしょうね。
神奈川区間に入ると渋滞気味で、ほっと安堵したものの、横浜付近で空いてくると、とうとう後ろからの圧力に耐えかねて、オートパイロットを65km/hに設定しています。ちなみに、メーター読みは65km/hですが、GPS計測の実測値では、62km/hといったところでしょう。
仮に日本でもFSDベータが解禁になると、どうなってしまうのでしょうか。品行方正にルール通りに走行しているクルマがあり、よく見ればTeslaだった、などということになったらそれはそれでシュールな光景です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
走るガジェット「Tesla」に乗ってます
「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、主にデジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマを連載形式でリポートします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
2
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
3
たばこ休憩なき時代の“一服”をどう取るか 温熱と“聞こえない音”で休む、JT子会社のアイマスクを試す
-
4
パナソニックHD子会社、使用禁止の生成AIに従業員約33万人分の個人情報をアップロード
-
5
「楽天ドライブ」に不正アクセス 保存したデータなど1.5万アカウント分が取得・閲覧のおそれ
-
6
B級感がたまらない? 映画「ストリートファイター」の魅力と原作ゲームの歴史、ゲーマーマンガ家が熱弁
-
7
「GitLab」に深刻度“最大”の脆弱性 認証なしで任意のコード実行の恐れ、修正版適用を CVSS「10.0」
-
8
PHPに「緊急」レベルの脆弱性2件 修正版を日本時間21日深夜に公開へ、事前準備を呼び掛け
-
9
GMO、「能動的サイバー防御」発動を政府に要請 「お名前.com」FX用VPSへの攻撃で
-
10
「Claude Mythos 5」、危害の兆候を顧みず実在の開発者を標的に──AnthropicとAISIが分析結果を公開
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR