分かりにくいけれど面白いモノたち
“正直”に徹したら「何かすごそう」なハサミができた コクヨの「HASA」(4/5 ページ)
「ハンドルは、かなり作り込みました」と藤谷氏は言う。見た感じ、黒一色で、シンプルなデザインに見えるが、実は、かなり細かいところまで考えられている。
「ハンドルの大きさは、HOL(人間生活工学研究センター)の統計データで、30代から50代の男性の人口カバー率が75%から95%に入るように設定しています」と藤谷氏。
実際に使ってみたところ、このハンドルは身長178cmの私も、身長150cmを切る女性も、同じく握りやすいと感じているので、比較的、広い範囲で快適に使えるのではないだろうか。
「このはさみは、企画段階から、Takramというデザイン会社にも入ってもらっていて、製品企画段階のユーザー・インタビューやコンセプト作りから関わってもらっています。ハンドル・デザインは人間工学的なアプローチを取りつつ、よくある奇抜な形ではなく、自然な形の中で生かせないかと考えて作りました。アウトライン自体はシンプルにしつつ、厚みを出して指に当たる面積が大きくなるようにしています。なので、見てもらうと分かると思いますが、中指が触れる部分は結構複雑な曲面になっているんです」と藤谷氏。
実際、指が当たる部分のカーヴが絶妙で、持った時、開閉する時などに、角があたって痛いということがない。また、指が当たるところはシボを細かくして手触りを良くして、そうでないところはシボを粗くして傷などが目立たないようにするなど、位置によって表面加工を変えているのも細かい配慮だ。ただ、この複雑な形状が、製造行程では中々上手く成形できず苦労したという。
その他、刃に細かいガラスの粒子を吹きつけてマットに仕上げる「ショットブラスト」という加工によって、高級感を出すと同時に、刃が持つギラついたイメージを低減。また、刃付けを2回に分けて刃先に角度を付ける「2段刃付け」によって、刃先の薄い部分を最小限にして刃こぼれを防ぎ、より耐久性を増すなど、日常生活で使うはさみとして、考えられる限りの「正直さ」で、長く使える良い道具としてのはさみを作っている。
何というか、持ってるだけで色々切りたくなるようなはさみなのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
分かりにくいけれど面白いモノたち
ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「侵入経路塞いだが、バックドアから……」不正アクセス105時間の攻防、分単位で報告 防災メールのアルカディア
-
2
ソースネクスト、パスワードなぜ平文で流出 「暗号化していたが、鍵にアクセスできるシステムに侵入された」
-
3
スクエニアカウントに不正ログイン、他社で流出の情報使用か 全アカウントのパスワード強制リセットも視野に
-
4
NECの委託先にサイバー攻撃 正規アカウント悪用し顧客のサーバ暗号化、個人情報の漏えいも
-
5
阪急阪神百貨店などの共通ID、ほぼ全会員分漏えい 約126万件 予約サイトに不正アクセス
-
6
メドレー、不正アクセスで停止中のサービスを作り直して再開へ 従来システムは再稼働させず
-
7
家電量販のJoshin、不正アクセスで一部サービス停止 個人情報漏えい「可能性否定できず」
-
8
デジタル庁、政府職員18万人にAIエージェント環境を展開──「源内」で提供開始、独自の安全基準も
-
9
ニフティ、54万件超漏えいの可能性 光回線の申し込みシステムに不正アクセス
-
10
日本企業狙う不正アクセスにAI 攻撃者が自律型侵入テスト「ARTEX」を悪用 GMOイエラエ調査
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR