浦上早苗の中国式ニューエコノミー
中国政府がIT企業の規制を緩和、大手のIPOへ前進か!?(5/5 ページ)
政府に手綱握られたIT企業
1月7日には、もう1つ重要なシグナルが発せられた。
中国銀行保険監督管理委員会主席と中国人民銀党委書記を兼務する中国の金融監督トップ、郭樹清氏が中国プラットフォーマー14社の金融業務について「基本的に是正が完了した」との見解を示した。具体的な企業名は出さなかったものの、アントのガバナンス刷新と同日に報道されたことから、投資家はIT企業規制の緩和を期待し、テンセントやアリババなど中国最大級のIT企業株の一部は、約半年ぶりの高値をつけた。
さらに1月16日、配車サービスのDiDiが「国家サイバーセキュリティの審査を受け改善を進めた結果、(1年半ぶりに)新規ユーザーの登録が認められた」と発表した。
当局に上場を止められ、IT規制の象徴的存在だったアントとDiDiの状況が動いたことで、市場はIT企業への締め付けが緩むと期待している。ただしそれは、「当局の管理の下」という前提になる。ジャック・マー氏は姿を消す20年10月以前もたびたび国の規制や非効率を批判していたが、当時は問題にならなかった。
マー氏のような直言型のIT企業家は、当面中国には現れないだろう。市場は政府に姿勢の軟化を歓迎しつつも、政府に手綱を握られたIT企業がかつてのようにイノベーションを起こし続けられるのかを懸念している。
筆者:浦上 早苗
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
<!--info end-->
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
浦上早苗の中国式ニューエコノミー
新聞記者を経て、中国へ留学後、中国に関する経済ニュース等を複数媒体で執筆する筆者が、中国の3大IT企業“BAT”を始めとする企業、ブロックチェーンやビットコイン、フィンテックや信用スコア、AIや5Gなど、中国最新のニューエコノミー情報をお伝えする。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
GMO、不正アクセス実行犯の手がかりに懸賞金 1億5000万円規模
-
4
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
5
auメールで朝から障害 全国で利用しづらい状況に
-
6
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
7
So-net、会員情報約259万件が漏えい 一部メールサービスではパスワードも流出
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
IPO目論見書に「AIは人類の存亡リスク」「コードの9割はClaude製」 Anthropicが示した規格外の見立て
-
10
Apple、M6搭載の14インチ「MacBook Pro」発表 AI性能向上、33万9800円から
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR