Microsoft、AzureやMicrosoft 365などで起きた大規模障害の原因報告 WAN内の全ルータが再計算状態に突入し、パケット転送が不可に
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「マイクロソフト、AzureやMicrosoft 365などに影響した先週の大規模障害の原因報告。WAN内の全ルータが再計算状態に突入し、パケット転送が不可に」(2023年2月1日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Microsoftは、日本時間で先週の1月25日午後4時頃から最大で約5時間半に渡り、Microsoft AzureやMicrosoft 365、Microsoft Teamsなど幅広いサービスがほぼ全世界で利用できなくなっていた大規模障害について、予備的な報告書を公開しました。
WAN内の全てのルーターに誤ったメッセージが送信
報告書の原因について説明している部分を引用します。
まず原因について。同社のワイドエリアネットワークに対して行われた設定変更が全体に影響したと説明しています。
We determined that a change made to the Microsoft Wide Area Network (WAN) impacted connectivity between clients on the internet to Azure, connectivity across regions, as well as cross-premises connectivity via ExpressRoute.
原因としては、Microsoft Wide Area Network (WAN) に対して加えられた変更が、Azureとインターネット上のクライアントとの接続やリージョン間の接続、ExpressRouteを介した企業間の接続などに影響を与えた結果であると判断しました。
具体的には、設定変更のためにあるルーターにコマンドを送ったところ、そのルーターがWAN内のすべてのルーターに対して誤ったメッセージを送信。その結果、WAN内のすべてのルーターが再計算状態に突入し、適切にパケットを転送できなくなったことが原因とのこと。
As part of a planned change to update the IP address on a WAN router, a command given to the router caused it to send messages to all other routers in the WAN, which resulted in all of them recomputing their adjacency and forwarding tables. During this re-computation process, the routers were unable to correctly forward packets traversing them.
計画的な設定変更の一環としてあるWANルーターのIPアドレスをアップデートしたところ、そのルーターに送られたコマンドによって、そのルーターからWAN内の他のすべてのルーターにメッセージが送信されました。その結果、すべてのルーターで隣接テーブルと転送テーブルの再計算が引き起こされたのです。そして再計算の間、ルーターは通過するパケットを適切に転送できませんでした。
問題の発端となったルーターは、マイクロソフトの認証プロセスで検証されていなかったことも付け加えられています。
The command that caused the issue has different behaviors on different network devices, and the command had not been vetted using our full qualification process on the router on which it was executed.
その問題を引き起こしたコマンドは、ネットワーク機器ごとに動作が異なる上、問題のコマンドが実行されたルーターは、当社の完全な認証プロセスでの検証が行われていませんでした。
2時間後にはほぼ自動回復、健全性維持システムを再起動
障害発生後の同社の対応と今後の対策についても報告書に書かれていますので、簡単にまとめておきましょう。
同社としては、障害発生から約7分後に、DNSとWANに関する問題を検出し調査を開始。発生から1時間5分後にネットワークが自動的に回復し始め、ほぼ同じくして問題の引き金となった問題のあるコマンドが特定されたとのことです。
2時間後にはほぼすべてのネットワーク機器が回復したことが観測され、2時間半後にはネットワークが最終的に復帰したことが確認されたと報告されています。
ただしWAN自身が備えていた健全性維持システム、例えば健全でないデバイスを特定して削除するシステム、ネットワーク上のデータの流れを最適化するトラフィックエンジニアリングシステムなどがWAN自身の障害によって停止してしまっていたため、これを手動で再起動。
これによりWANを最適な動作状態に回復させるまでネットワークの一部でパケットの損失が増加し、約5時間時40分後にこれが完了したとのことです。
今後の対策として、影響度の高いコマンドの実行を遮断し、デバイス上でのコマンド実行は、安全な変更ガイドラインに従うことを義務付ける予定とのことです。
今回の報告は予備的な報告書と位置づけられており、今後改めて詳細な発表が行われる予定とされています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
2
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
3
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
4
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
5
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
6
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
7
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
8
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
-
9
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
10
「漏えい」の一言で素通り客が振り返る──相次ぐ情報流出の中で開幕のセキュリティ展示会 来場者の態度も激変
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR