分かりにくいけれど面白いモノたち
なぜ「大人のやる気ペン」なら“続く”のか? 開発者に聞くその秘密 「データを使って煽るツールにはしたくなかった」(2/5 ページ)
実際、原稿を書く時にしても、キーボードの前に座って、指を置いたところからが、頭も本格的に動いている感じがする。もちろん、ぼーっと寝転がっていても原稿のことを考えたりはしているのだけど、それを文章という形にしようと思うのが、キーボードの前やノートの前だ。
で、そういう状況になって初めて、ぼんやりとしたアイデアや文章が具体的な形になっていく。で、書き始めることもできるというわけだ。
アイデアスケッチなども、結局は頭の中にあるものにきちんと形を与える作業で、それ自体がすぐに具体的なアイデアになるわけではなくても、少なくとも形にしようという意識にはなるわけで、それはもう作業だし勉強だろう。そこにコクヨが着目できたのは、先に子ども用の「しゅくだいやる気ペン」を開発していたからでもあると思う。
「小学生がどれくらい勉強しているのかっていうのを、すごく細かく、解像度高く調査しています。低学年だとよく言われるのが、学年×10分というもの。製品は勉強が苦手な子向けに作っているので、基本的には5分くらいペンを持って問題を読んで、5分書いたらもう終わりという、そんな感覚で使える製品作りからスタートしているので、その5分、10分の持続を励ますツールにしているんです。その部分は、実は子ども向けも大人向けも変えていません」
何かを競うとか、達成感を提供するのではなく、次の日もやろうとか、続けようという気になる手伝いをするツールというのが、この「やる気ペン」シリーズのポイントなのだろう。だから、この製品には学習の効率化とか、合理化、競争意識といった考え方が存在しない。
「アプリでは、勉強量がスゴロクのような形で表示されるのですが、そこも5分もやれば必ず1マス、2マス進めるようになっています。子どもって、グラフで見るという習慣がそもそもないですし、グラフで見ちゃうとなんか嫌になっちゃうんですよね。だから、『しゅくだいやる気ペン』のアプリでは、子どもが見る画面には数値化されたデータは一切見えないようにしています。親が見る画面にはグラフがあるんですけど、それも一週間を振り返って、何曜日にどれくらいやってるのかな? といった感じを把握する程度の解像度の低いグラフなんです」
細かくデータを取る方向に進むと、例えばこちらのテキストを何分やって、こっちは週に何時間とか、そういう部分まで踏み込みたくなってくる。大人向けにそういうデータをユーザーが管理できるようにすれば、来週はここを重点的にやろうといった、未来の学習計画に役立てることができるかもしれない。
ただ、それだと、今やろうとしていることとは違うものになる。そこは今後の別の製品開発の課題になるのかもしれない。
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ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
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