分かりにくいけれど面白いモノたち
「古生物ぬい」のこだわり、そして「Nuiパン」の発想力 ブームを支える開発者たちに聞いた、ぬいぐるみ作りの“秘訣”とは(3/8 ページ)
学術上のリアリティーをしっかりと反映
一方で、スナメリっぽいと心配だったステラーダイカイギュウは、抱き枕になりそうな大きな方も順調に売れているという。「実際、展示でも大きく取り上げられているし、大きいと面白いかなとノリで作ったところはあるんですけど」と木村さんは笑う。可愛いとリアル、ぬいぐるみらしさと古生物らしさという点については、やはり「ぬいぐるみらしい可愛さ」を第一に考えるのだそうだ。
「そのあたりは、監修の先生方も理解してくださっていて、可愛さを意識しながら、学術上のリアリティーをしっかりと反映してくださいました。それこそ、このサカバンバスピスなんて、最新の研究成果がディテールの造形に生かされているんです」という木村さんの話を受けて、大絶滅展の主催者の一つでもある読売新聞社の、文化事業部の担当者Nさんも補足してくださった。「例えば、サカバンバスピスの展示で飾られている復元模型や、このぬいぐるみは、国立科学博物館の三上智之さんのYouTubeチャンネルで、最新の研究に基づく復元であることが説明されています」。
2023年に、フィンランドのヘルシンキ自然史博物館に展示されているサカバンバスピスの復元模型の写真がSNSでバズってブームになったことを覚えている方も多いと思うけれど、その写真では分かりにくかった顔のディテールが、今回の模型やぬいぐるみでは分かりやすく再現されているということらしい。つまり、このぬいぐるみは「現時点で最も新しいサカバンバスピス」なのだ。
「他にも、三上先生が監修された海の古生物のアノマロカリスやタリーモンスター、エーギロカシスなども、かなりこだわって監修いただいたようです」と木村さん。
三葉虫は足が移動用とエラ用の2つがセットになっているところとか、口のところにハイポストマと呼ばれる板状の器官が付いているとか、タリーモンスターが実は脊椎生物ではなかったという三上先生自身が論文にも書かれた研究成果が、復元模型やぬいぐるみの造形に生かされていたりと、ディテールの再現にも気が配られている。
その辺りの詳細は、前述のYoutubeの中で三上先生が言及されているので参照してほしいし、可愛いにも関わらず、それが科学的にも重要な発見の元に作られていると知ると確かに欲しくなる。タリーモンスターなんて存在も知らなかったけれど、よくぬいぐるみにしたなと思える不思議な造形もあって、何だかここで買わないと、この先は絶対出てこないような気がする。
そして、とにかく驚いたのがウマ科の進化を一体のぬいぐるみで見せる「ひっくり返して、またひっくり返すぬいぐるみ(ウマ科3種)」だ。
展示でも、古第三紀始新世前期のシフルヒップス、古第三紀漸新世のメソヒップス、新第三紀中新世のメリキップスの全身骨格標本で、馬が現在のような生物になるまでの変化を見せていて、特に、脚の指の部分の変化がとても面白かった。
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