小寺信良のIT大作戦

「SaaSの死」は起こっていない? 2つの調査から見えてきたAIで代替できない、代替すべきではない業務(2/5 ページ)

SaaSの利用率は高いが、分野による

 KiteRaの調査では、日常業務で生成AIまたはAIエージェントを利用しているという回答は、88.8%にも上る。ただこの数値は、使うか使わないかの二択であり、実際にどの程度、あるいはどのレベルで、というところが問題になる。

日常業務でAIを利用している割合(出典:KiteRa「AI(生成AI/AIエージェント)の利用実態に関する調査」)

 日常業務を遂行する手段としては、何らかの形でAIを利用しているユーザーは23%程度で、そのうち自動化されているという回答は2.4%である。一方SaaSの利用という点に注目すれば、手作業やAI機能など様態は様々ではあるが、トータルでは72.6%という数字になる。

日常業務を遂行する手段(出典:KiteRa「AI(生成AI/AIエージェント)の利用実態に関する調査」)

 日常業務の遂行手段別・満足度の比較を見ると、SaaS中心、あるいはSaaS+AIの満足度は高い。逆に何に不満があるのかに注目すれば、手作業中心と、SaaS+手作業の併用には不満が大きい。SaaSを利用しても、手作業がある限り不満は大して減らないということが見てとれる。

日常業務の遂行手段別・満足度の比較(出典:KiteRa「AI(生成AI/AIエージェント)の利用実態に関する調査」)

 注目したいのは、利用しているSaaSの分野である。「ワークフロー・申請承認」「経費精算」「会計・財務管理」「勤怠管理」など、ほとんどの社員が関係しつつ、専門部署にデータを回して承認作業が必要みたいな管理業務に、SaaSが積極的に利用されているのがわかる。クラウドにアクセスできれば、社外からも利用でき、処理も早いところが評価されているのだろう。この分野は人間の活動に関わる部分なので、AIが人に取って代わるような自動化も難しい。

利用しているSaaSの分野(出典:KiteRa「AI(生成AI/AIエージェント)の利用実態に関する調査」)

 一方でSaaSの利用が低いのは、「内部監査・リスク管理」「コンプライアンス・内部通報管理」「研究開発・技術情報管理」「問い合わせ・カスタマーサポート管理」「マーケティング支援」となっている。監査やコンプライアンス、研究開発などの情報は社外秘であり、クラウド利用による情報漏洩リスクを警戒してのことだろう。カスタマーサポートやマーケティングは顧客情報が含まれるため、こちらも情報漏洩リスクがある。

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