母子2人制作の中国CGアニメ「牛来」、粗削りさが話題で異例のヒット 興収17万円→6000万円超に(1/2 ページ)

 中国で、国産アニメ映画「牛来」(ニウライ)が異例の注目を集めている。作品の完成度があまりに低いことがSNSで話題になり、観客が劇場に押し寄せているという。中国の英字紙Global Timesや香港メディアの星島頭條などが8月16日までに報じた。

SNSで話題となったアニメ映画「牛来」のワンシーン(1/3)(出典:星島頭條より、以下同)

 牛来は5日に中国で公開された上映時間86分のアニメ映画。Global Timesによると、公開初日の興行収入は約3400元(2026年8月時点のレートで約8万円)、9日間の累計でも7169元(約17万円)にとどまり、観客数は全国で300人に満たなかった。

 ところが14日、この興行成績を取り上げたSNS上の話題が拡散すると状況が一変。「CGがひどすぎる」「AI生成のアニメよりひどい」といった投稿とともにネタ投稿などが相次ぎ、北京や広州などの映画館は上映回数を増やした。累計興行収入は16日の報道時点で250万元(約6000万円)を超えたという。星島頭條は、1日の興行収入が約80万元(約1900万円)に達したと報じた。

SNSで話題となったアニメ映画「牛来」のワンシーン(2/3)
SNSで話題となったアニメ映画「牛来」のワンシーン(3/3)

 物語は、子牛が砂漠から飛んできたヒバリを夢の世界へ誘い、さまざまな力に導かれて勇士へ成長するという内容。登場人物は主人公の子牛「牛来」をはじめ表情や動きが硬く、衣服の模様も不鮮明で、水墨画調の繊細なポスターと本編のCGのギャップも話題を呼んだ。星島頭條によると、観客からは「何を言いたいのか分からない」との声が出る一方、劇場では笑いが絶えず、ストレス解消になったと評価する声もあるという。

アニメ映画「牛来」のポスター

主要スタッフはわずか2人、完成まで5年

 制作体制も異例だ。主要スタッフはわずか2人で、信雨萌監督が監督・出演・声優などほぼ全ての作業を担った。星島頭條は、もう1人は監督の母親で、制作に参加した上エンディング曲まで歌ったと報じている。完成には5年を要し、制作会社はもともと内装工事を主な事業としていたという。配給会社の関係者は、完成作を見て信監督に公開しない方がいいと忠告したが、本人の強い希望で劇場公開を支援したと明かした。

キャストとスタッフ(出典:豆瓣電影の作品ページより)

 ネット上では作品をやゆする声がある一方、星島頭條によると、意図的な演出や無理な感動の押し付けがない率直で力の抜けた質感が、かえって多くの観客の共感を呼んだとの業界関係者の見方も出ているという。

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