「ポロクル」も「まちのり」も止まった ドコモ・バイクシェア大規模障害、影響が全国に及んだ理由(1/2 ページ)

 ドコモ・バイクシェアのシステム障害により、全てのエリアでサービスが一時停止する事態が発生しました。システム障害の具体的な原因については執筆時点で明かされていませんが、ドコモ・バイクシェアでは会員登録時のフローの抜本的な見直しを含むシステム更新を7月末から8月1日にかけて実施しており、このシステム変更の影響によるものと考えられます。

(編注:同社は18日に原因を「新システムへの移行後に利用が集中し、システムの処理能力が不足したこと」と発表しました。)

 もともと、ドコモ・バイクシェアではシステム更新によるサービス停止を7月31日午後10時から8月1日正午まで予定していました。システム更新の内容は、従来のドコモ・バイクシェアのID・パスワードによるログインから、dアカウントやGoogleアカウント、Apple IDといった外部アカウントによるログイン方式への変更と、支払い方法を「月末締め翌月払い」から、利用する都度料金を請求する仕組みへの変更でしたが、システム更新の後に自転車の返却操作が正常に完了できなかったり、料金プランが正しく反映されなかったりする不具合が発生しました。

ポロクルのお知らせ(出典:ポロクル)

 この不具合が解決されないまま、8月4日午後2時30分ごろから全国の全エリアでサービスが一時停止となりました。過去、システムメンテナンスやシステム入れ替えなどの理由でサービスを停止することはありましたが、システム障害によって全エリアのサービスが停止し、全面復旧までに9日を要する事態は、ドコモ・バイクシェアに限らず国内のシェアサイクルでは初めてです。具体的な利用者数などは公表されていませんが、サービス停止の期間や規模などを鑑みると、シェアサイクル業界においては過去最大規模の障害と言えるでしょう。

 なお、ドコモ・バイクシェアは、8月1日以降の利用料金についてユーザーの手続きなしで全額返金することを発表しています。これは、月額会員であっても1回会員であっても同様です。

8月1日以降の利用料金は全額返金(出典:ドコモ・バイクシェア)

「ドコモ」名称を越えて全国に影響した理由

 ドコモ・バイクシェアは東京都内では「ちよくる」などの愛称でシェアサイクルを展開しています。ドコモのコーポレートカラーでもある、赤を基調とした自転車を目にしたことがある方も多いでしょう。実は、都内などでよく見かける赤を基調とする小径車に限らず、ドコモ・バイクシェアは全国の多数の都市のシェアサイクルにシステムを提供しています。

新名称発表時のドコモ・バイクシェア系サービス一覧 日本各地で直営またはシステム提供によるシェアサイクルを展開している

 北海道札幌市のシェアサイクル「ポロクル」を例に紹介すると、ポロクルはもともと2011年にスタートしたコミュニティサイクルで、ドコモ・バイクシェアのシステムを導入したのは2019年の春からです。

リニューアル前の「ポロクル」は白を基調としたノーマル自転車だった
2019年シーズンから「ポロクル」はドコモ・バイクシェア系のカラーリングに

 「ポロクル」と同様に、以前は各地で独自のシステムで提供されていたコミュニティサイクルが、システム更新などによりドコモ・バイクシェア系のシステムを導入した例は、金沢市の「まちのり」や姫路市の「姫ちゃり」、岡山市の「ももちゃり」など各地に多数あります。

姫路市のシェアサイクル「姫ちゃり」(ドコモ・バイクシェア系)
金沢市の「まちのり」(ドコモ・バイクシェア系)

 今回のシステムトラブルでは、ドコモ・バイクシェアが直接サービスを運営するエリアに限らず、札幌市の「ポロクル」や金沢市の「まちのり」などのシステム提供先も含めて、全てのエリアでサービスが一時停止しました。

 ドコモ・バイクシェアのシェアサイクルが提供されるエリアを集計してみると、ドコモ・バイクシェア自身がサービスを提供するエリアが15都市(東京都16区は1つとしてカウント)でポートは合計約4100カ所、システムを提供するエリアが約35都市でポートが合計約1900カ所に設置されています。

 ポート数が100カ所以上の都市だけを集計しても、東京都(広域)、仙台市、横浜市、大阪市、広島市、大分市および別府市、金沢市、名古屋市、京都市、宮崎市でドコモ・バイクシェア系のシェアサイクルが提供されています。このように、今回の障害によるサービス停止は、首都圏や大都市だけでなく、地方の主要都市にも大きな影響がありました。

大分市の「おおいたサイクルシェア」もサービス停止した

 特に、札幌市や金沢市など以前からコミュニティサイクルとしての運用実績がある都市では、ドコモ・バイクシェア系のサービスであることを正確に理解せずに使っていたユーザーも少なくないでしょう。

仕様変更と「NOLL」ブランドへの刷新、一度は仕切り直しになった

 実は、ドコモ・バイクシェアがシステムのリニューアルを発表したのは2026年2月下旬のことです。続いて3月上旬には記者会見を開催し、新型車両をお披露目するとともに、5月にサービスブランドを「NOLL」(ノル)にリニューアルすることを発表していました。

新ブランド「NOLL」を発表するドコモ・バイクシェアの清水貴司代表取締役

 ところが、サービス仕様の変更とブランドリニューアルは3月19日付で延期が発表されました。新型車両や新ブランドのお披露目からわずか2週間余りで延期の発表に至ったのは、ドコモ・バイクシェア自身の開発の遅れなどの問題だけでなく、各地のシステム提供先とのコミュニケーション不足による影響もあったのではないかと筆者は推測しています。

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