Innovative Tech:
サッカーのヘディング、直後に脳の損傷指標が上昇 300人の実測データ 米医学誌に掲載
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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
オランダのアムステルダム大学などに所属する研究者らが医学誌「JAMA Neurology」で発表した論文「Amateur Soccer Heading and Acute Elevations in Blood-Based p-Tau217 and S100B」は、アマチュアサッカーの試合で実際に生じるヘディングが、脳の損傷を示す「血液バイオマーカー」に影響を及ぼすかを検証した研究報告だ。
この研究は、2024年8月から12月にかけて開催されたアマチュアサッカーの公式試合に参加した、神経疾患の既往歴がない18歳以上の男性選手302人(平均年齢24.6歳)を対象に行われた。
研究チームは、試合前、試合直後(1時間未満)、試合の24~48時間後に選手の血液サンプルを採取。同時に、ビデオ分析によってヘディングの頻度と強度(ボールの軌道距離など)を定量化し、心拍数や位置情報モニタリングを用いた運動強度のデータも含めて、解析時の調整を行った。
対象選手の72%(216人)が試合中にヘディングを経験しており、1人1試合あたりの平均ヘディング回数は2回であった。また、全体の48%が飛距離20mを超えるボールをヘディングする高衝撃のヘディングを行っていた。
分析の結果、ヘディングを行った選手は、行わなかった選手と比較して、試合直後の血液中におけるS100B(脳の細胞から漏れ出るタンパク質で、血中の量が脳へのダメージの目安になる)濃度が有意に上昇していた。
さらに、ヘディングの回数が多いほど、S100Bおよびp-tau217(アルツハイマー病の血液検査に使われる、神経細胞由来のタンパク質)の濃度上昇が大きくなるという用量反応関係も確認された。高衝撃のヘディングを経験した場合も同様に、これらの数値の上昇が認められた。
ただし、今回観察されたバイオマーカーの上昇は一時的なもので、試合の24~48時間後には正常な水準に戻っていた。血液量を調整した感度分析でも結果は変わらなかった。
Source and Image Credits: Hoppen MI, Konigs M, Teunissen CE, et al. Amateur Soccer Heading and Acute Elevations in Blood-Based p-Tau217 and S100B. JAMA Neurol. 2026;83(7):635?644. doi:10.1001/jamaneurol.2026.1224
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