「壁紙DIY」とイマドキの超短焦点4Kプロジェクターを寝室で試したら検証が止められなくなった(3/3 ページ)

メーカー非推奨だが「壁紙DIY」という現実的な仮説

 壁でもいけるとはいえ、クロスの凹凸による超短焦点特有の歪みは、気になり始めるとやはり気になります。下から鋭角に光を当てる超短焦点の仕組み上、わずかな壁の凹凸が影になって目立ちやすいからです。

 しかし、巨大なフレーム型スクリーンや電動スクリーンを寝室に導入するのは現実的ではありません。そこで1つの仮説に行き着きました。壁の平面性を活かして、マットホワイトの粘着シートを直接貼ればいいのではないか、というDIYアプローチです。

 幸い、最近の住宅の石膏ボード壁はそれ自体が高い平面性を持っています。例えば、3Mのダイノックフィルムのような高品質なマットホワイトの幅1220mmのシートを横向きに貼れば、16:9の約97インチ投影に必要な縦幅(約121cm)をギリギリ継ぎ目なしでカバーできます。これなら数千円から1万円程度の出費で、クロスの凹凸を消し、ある程度の画質まで持っていける感触をつかみました。

 もちろんこれはメーカー非推奨のアプローチですが、高額なスクリーンを買うか、諦めるかの二択ではなく、スクリーンを置く場所がないという最大のハードルを、身近な工夫で下げられる可能性は十分にあります。

内蔵スピーカーで成立する「気楽な一人シアター」

 そして、寝室でのテストでもう1つ気付いたのが音響の手軽さです。

 ホームシアターといえば、映像に負けない重厚なサラウンドシステムを組みたくなります。しかし、Aetherionは本体からもかなりまともな音が出ます。

 ここが超短焦点プロジェクターの面白いところなのですが、壁際に設置するため、視聴者は必然的にプロジェクターの真ん前に座ることになります。すると、自然と音が前方から飛んでくる形になり、一人で見る分にはこれだけで立派なシアターが成立してしまうのです。

壁際に置いたプロジェクターの真ん前に座るため、自然と音が前方から飛んでくる

 大がかりなスクリーンも外部スピーカーもなしで、壁の前に本体をポンと置くだけ。これだけ気楽にプロジェクターを設置できる時代になったのだなと、技術の進化を実感します。

価格は?

 スクリーンがなくても工夫次第で置ける、気楽に使えることが分かったところで、もう1つの壁である価格について考えてみましょう。

 Aetherion Maxの定価は71万9800円、同Proは55万9800円です。過去に登場した4K超短焦点プロジェクターを振り返ると、例えばLGの3chレーザー機「HU915QE」は発売時約55万円、エプソンのレーザー機「EH-LS800」は約41万円という価格帯でした。

 ただ、現在Makuakeで実施しているクラウドファンディングでは、Proが約31万円、Maxが約37万円から手に入ります。省スペースで大画面の映像体験を得たい人にとって、今回の先行販売はチャンスだと思います。

 また初期投資だけでなく日々の運用コスト(ランニングコスト)にも目を向ける必要があります。これだけ明るいプロジェクターとなると電気代が気になりますが、メーカーに確認したところ、消費電力はMaxで約175W、Proで約135W(待機時はいずれも約0.5W)とのこと。これは最近の大型液晶テレビでいえば50~65インチ相当です。

 また、レーザー光源の寿命については「約2万5000時間の長寿命レーザー光源を採用している」という回答を得ました。毎日8時間使っても8年以上使えるわけで、交換のことはあまり考えなくて良いレベルだと思います。昔のプロジェクターが採用していた高圧水銀ランプ(約3000~6000時間)と比べると隔世の感がありますね。

テストのはずが「もう1本……」という罠

 リビングで公式スクリーンを導入して画質を極めるも良し、寝室で壁紙DIYと内蔵スピーカーを使って気楽に楽しむも良し。しかも普通の100インチのテレビと違って、巨大な黒いパネルが部屋に存在するという圧迫感がありません。電源を切ってしまえば、そこにあるのはプロジェクター本体のみですから。

 ……と、まとめたところで、最後に1つだけお伝えしなければならないことがあります。このプロジェクターの最大の魅力は、スペックやコスパなどの理屈ではありません。壁に映してテストをしているつもりが、映像と音の没入感が高すぎて、うっかりアニメを1話まるごと見てしまうという体験そのものです。

 しかも「さて、テストも終わったし……何か他に見るものないかな」と探している自分がいて、時間がどんどん溶けていく。ホントにテストしているはずが、途中からテストじゃなくなってしまうの、実に大問題です。

 いやあ、100インチ近いサイズで見る「天幕のジャードゥーガル」最高でした。

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この記事の著者

いしたにまさき
いしたにまさき

ブロガー、ライター、アドバイザー、プロダクトデザイナー。2011年アルファブロガー・アワード受賞。ひらくPCバッグシリーズのデザインにて、2016年グッドデザイン賞受賞。

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