旅客機並みの巨大通信衛星「スターリンクV3」がもたらすもの (2/2 ページ)

ダウンリンクは最大1Tbps

 スターリンクV3衛星は、新しいフェーズドアレイアンテナを使い、アップリンクが最大160Gbps、ダウンリンクは最大1Tbpsを実現する設計です。これは従来のV2衛星と比べてアップリンクが約22倍、ダウンリンクは約10倍となる数字です。

 今回のミッションで打ち上げられる26基が稼働を始めれば、SpaceXの衛星コンステレーション(軌道上に多数の衛星を配置して1つのシステムとして運用する仕組み)は一気に26Tbpsの容量を追加できることになります。これは、従来のファルコン9ロケットによるV2ミニスターリンク衛星の1回の打ち上げと比較して約10倍の容量です。

 さらに今後は、最大100tを誇るスターシップの積載可能重量を生かし、1回の打ち上げで60基ものV3衛星を打ち上げる計画です。超大型ロケットと大型通信衛星を使い、通信網を構築する効率を大幅に向上させるSpaceX。イーロン・マスク氏のいう「現在の100倍以上の帯域幅(通信速度)」の実現も近いかもしれません。

 スターリンクは現状、企業や個人に向け、専用アンテナを使った衛星通信サービスとして提供されています。アンテナはルータや無線LANも内蔵し、バッテリーなどで給電することもできるため、日本でも光回線のない地域や移動用、あるいは災害発生時の通信手段などに使われています。まだ家庭のネット回線としては一般的とはいえませんが、スターリンクV3衛星によって高速化や低コスト化が進めば、今後は状況が変わるかもしれません。

 一方、スターリンクV3衛星のために開発された技術の数々は、今後打ち上げる予定の「Starlink Mobile Gen 2」衛星にも活用されます。この衛星は、地上のスマートフォンと直接通信し、5Gと同レベルの通信速度を実現するというもの。すでにKDDIやドコモはSpaceX傘下の通信会社と契約し、今後1~2年のうちに高速なデータ通信と音声通話を提供すると発表しています。

Starlink Mobile Gen 2のイメージ。現在の100倍のデータ密度で、宇宙から5Gレベルの高速通信を実現するという(出典・Starlink公式Xアカウント)

 将来的に日本の多くのユーザーも恩恵を受けるであろう新たな宇宙通信サービス。その第一歩となるスターシップ14回目の試験飛行に期待したいと思います。

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