ずっと座っている人ほど椅子には“動いて”ほしい Razerの最新ゲーミングチェア「Iskur V2 NewGen」を試す(3/3 ページ)
自分なりに調整してみよう
座面高はガス圧式で調整できます。レバーを操作し、立ち上がると座面がすっと上がっていくため、高さを変える動作そのものに力はいりません。座った状態で少しずつ下げることも含め、いつもの机やキーボードの高さに合わせる最初の一歩として、扱いやすい機構です。
アームレストは、腕を自然に下ろした位置から、肘をまっすぐ置く位置まで対応できるほど高さの調整幅がありました。私の机では、最終的に左右で肘を置く高さを変え、前後位置も動かして合わせました。左のアームレストは最も前へ出し、左右方向は中央に。右は最も後ろへ引き、左右方向は最も左へ寄せています。
肘掛けの回転は、左右とも中央のままです。左右の腕を同じ高さ、同じ位置にそろえることが正解とは限りません。高さだけでなく前後位置、左右位置、さらに角度まで個別に合わせられることが、実際の使い勝手につながっています。
HyperFlexランバーサポートの2つのダイヤルは、役割が分かれています。座って左手側のダイヤルを回すと、腰を支える部分が上下に動き、支える高さを決められます。右手側のダイヤルを回すと、腰の支え自体が前後に動き、腰への当たり方、つまり支えの出方を調整できます。左右の腰を別々に調整するためのダイヤルではなく、高さと前後位置を受け持つ2つのダイヤルというわけです。
ダイヤルは軽く、背中側へ手を回すだけで回せるため、わざわざ立ち上がったり姿勢を崩したりする必要がありません。仕組みを細かく説明すると複雑に見えますが、要するに座った状態で自分が快適だと思うところまで、ダイヤルを回せばいいだけです。
また、腰まわりの感覚は、時間が経つとどうしても変わります。少し前かがみで集中する時間もあれば、背もたれに深く預ける時間もあるからです。日々座りながら「もう少し支えがほしい」「今日は少し緩めたい」と感じた瞬間に、腰の支えをその場で調整できる。この手軽さは、このチェアの大きな魅力です。最初の一度で正解を決めるというより、使いながら自分の最適な設定を探していくチェアです。
背もたれの角度も、実際に3つの使い方で試しました。キーボードへ向かう、ほぼまっすぐな作業姿勢。動画を見るときに少しもたれかかる姿勢。そして、ほぼ横になるほど深く倒した休憩姿勢です。いずれの角度でも違和感なく使えました。作業用の椅子だからと背もたれを立てたまま固定するのではなく、そのときの目的に合わせて角度を変えられることが、この椅子の良さです。
使い始めて少し時間が経つと、私の場合はリクライニングをロックせず、体の動きに合わせて背もたれが動く状態の方がしっくりきました。初期設定を一度決めて終わりにするより、座りながら小さく動き、必要に応じて支え方を変えられる方が、自分の体には合っているようです。この使い方にも、だいぶなじんできました。
体の支え方が1カ所に集中していないことも、このチェアの良さです。腰と背中は調整可能なランバーサポートが受け持ち、頭を預けて休むときは、記憶フォーム(押されるとゆっくり元の形に戻る低反発ウレタン素材)らしい、ゆっくり沈み込む感触のヘッドクッションが受け止めます。
最初は「休憩時に頭を預けるためのもの」という印象だったヘッドクッションですが、使っているうちに評価が変わりました。少し前かがみで作業するときにも、頭の後ろへ軽く当たる感触が気持ちいいのです。よほど邪魔に感じない限り、外す理由はありません。今では必須と考えています。
そして、お尻と太ももは厚みのある座面が受け持ちます。他の椅子に座った後でIskur V2 NewGenへ戻ると、座面の厚みがつくる手厚い支えが改めて分かります。どこか1つを強く押さえ込むのではなく、腰、頭、お尻と太ももに役割を分けているから、長時間の作業やゲームに向けて自分の好みへ寄せやすいのです。
この椅子を使い始め、自分にとって快適な状態を探して微調整を続ける中で、1つ気づいたことがあります。これまでの椅子であまり調整したいと思わなかったのは、調整が必要なかったからではないのかもしれません。そもそも細かく調整できる椅子ではなかったので「自分のポジションを出す」という発想そのものがなかったのではないか、と。
調整項目が多いことは、カタログでは数字として並びます。しかし実際には、座りながら小さく動かし、今日はここ、次はあちらと試せることが大きい。仕事の内容が変われば、少し前かがみになる時間も、深くもたれる時間も変わります。季節が変わり、服装や室温が変われば、しっくりくるポジションもまた変わるかもしれません。
だからこそ、この椅子に「これが唯一の正解」という設定はありません。Iskur V2 NewGenは、椅子に体を合わせるのではなく、その日の自分に合うポジションを出し、必要に応じて追い込んでいく楽しさを教えてくれる一脚でした。
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