名称なぜ「テッペイ」? JR東、遅れすぎたコード決済参入の勝算(3/4 ページ)
コード決済単体の勝負ではない、JR東の狙い
teppay投入の意図と今後について、会見ではJR東日本の高松奈帆人氏(マーケティング戦略部 Suica・決済基盤構築ユニット決済・金融事業部長)への囲み取材も実施した。まず決済時に「テッペイ♪」と象徴的な音声が流れる新サービスのネーミングだが、同氏によれば首都圏で日常的に使われるサービスとしてモバイルPASMOとの連携が不可欠であり、「Suica」や「JRE」といった名称をあえて外し、両社にとっても親しみを持てる名称として「Travel」「Easy」「Partnership」の頭文字を取った「teppay」に決めたという。JR東日本の本業である「鉄道」も連想しやすいという理由もあるようだ。
またPASMOとの協業が前提にあったことで、「JRE POINT」のteppayへの取り込みが難しくなり、「teppayポイント」という別のポイントプログラムを用意し、他のポイントへの交換機能を提供することで対応する形となった。これはPASMOが私鉄が複数集まる協議会組織であり、各社それぞれが独自のポイントプログラムを展開していることによる。えきねっととの連携がJCBプリカ経由という形で疎遠になったのもこの延長線上にあるとみられ、パートナーシップと引き換えにデメリットを甘受することになったといえるかもしれない。
囲み取材で興味深かったのは、「コード決済単体で勝負しない」という同氏の発言だ。多くが知るように、コード決済の分野ではPayPayが圧倒的シェアを獲得しており(6〜7割程度といわれる)、4500万のモバイルSuicaユーザー基盤をもってしても7500万人を抱える同社にはかなわず、加盟店網でも中小規模以下の個店を中心にPayPayが圧倒的優位を保っている。
ただ、コード決済では「楽天ペイ」を除けば直接的なSuicaチャージが可能な唯一のサービスであり、「交通サービスを起点にSuicaの価値を向上させる」という点でPayPayらに対して優位性があるという認識だ。teppayにビューカードを登録し、その引き落とし口座を「JRE BANK」に設定することで新幹線の4割引き特典といったお得なチケットを入手できるサービスが用意されていたりと、鉄道を主体としたグループ連携でメリットを打ち出している。
さらにJR東日本の強い首都圏以外のエリア拡大にも意欲を見せており、JR北海道がモバイルSuicaシステムを導入予定である例を挙げ、モバイルSuicaのサービスそのものが全国区で利用されていることから、それら基盤を生かしていくことも視野に入れている。
高松氏は“ファーストタッチ”の重要性にも触れている。老若男女誰でもすぐに始められるのがteppayの強みとする一方で、例えば若年層がteppay経由で親から通学定期券代やお小遣いを送金され、子どもはteppay残高で定期券を購入したり、Suicaにチャージして交通費や普段の買い物に割り当てるといった使い方も考えられるという。こうしたSuicaチャージなど交通サービスにすぐに結び付けられる点が前述のようにteppayならではの強みであり、こうした過程で若年層がteppayに触れることでさらに広いユーザーを獲得できるという考えだ。
同時に、同氏はteppayの目標値(KPI)として「利用金額」を挙げている。この手のアプリの指標となるダウンロード数はteppayには意味がないが(モバイルSuica利用が基本のため)、このサービスを使ってもっと買い物をしてほしいというわけだ。PayPayが最重要KPIとして「決済回数」を挙げているが、teppayでは「両方とも重要だが、どちらかといえば金額の方」(高松氏)とのことで対照的だ。これはおそらく、モバイルSuicaが少額決済を担うケースが多く、teppayはどちらかといえば高額決済やオンライン決済が中心となるため、普段使いの利用頻度を重視するコード決済一本のPayPayとの差だと思われる。teppayはコード決済で勝負する一方で、あくまで周辺サービスと連携するための柱の1つという位置付けなのだろう。
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