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「デイリーポータルZ」の素顔(2/2 ページ)

» 2004年03月29日 18時21分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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「社長兼ライター」の悩み

──ライターのみなさんは、どのような経緯でDPZに参加されたんですか?

大塚 私はフリーのライターなんですが、林さんの知り合いが私の知り合いで、その人を通じて「自由研究をやるのでライターを探している」とオファーを受けたのがきっかけです。

古賀 去年の夏頃のライター募集に応募して採用されました。週3日は別の会社で働いていて、残りの時間をDPZにあてています。

 僕が社長をしているデザイン会社「デジタルビイム」で、ウィークリーポータルのころからサイトデザインを請け負っていたんですが、デイリーポータルになる頃に、林さんに「ライターが足りないから文章も書いてみない?」と誘われて。

──もともと書いてみたいと思っていたのですか?

 いえ、思ってなかったですが、人が足りなかったので仕方なく……でも今は楽しくやってますよ。ただ最近、自分の中で社長業とDPZの考え方のバランスが取れなくなってきてます。デザイン会社の方では、クライアントありきの制作が多くて、SEO(検索エンジン最適化)とか「ユーザビリティー」とか言いながらまじめにプレゼンしているわけですよ。でもDPZみたいに、一見勝手気ままにやっているように見えるサイトに実際は人が集まっている。分からなくなってしまいます。

DPZは「ディスカバリーチャンネル」

──毎日更新されている特集ですが、テーマはどうやって決まるのですか?

 各ライターは特集を月4本(週に1本)担当するんですが、ひと月あたり6−8本、企画案を出してもらいます。その企画を、月に1回、ライターが集まって開く企画会議にかけて、その場で話が広がるものを採用します。

── 林さんを含め、ライターのみなさんは、どういう風に企画を考えられますか?ネタに詰まることはありませんか?

大塚 普段から気になったことをメモしていますが、ネタには詰まった時は「横ばい」で発想することを心がけています。次々と難易度を上げていく、TV的な「タテ」の発想だと、絶対どこかで詰まってしまうので。

 僕はタテに行っちゃいましたね。リアクション芸人みたいに、「もっと自分をいじめないと」と思ってしまって。タテに行って自分の限界を試すのも楽しいんですけど。

古賀 いろいろ企画は考えますが、それが実現できるのか、面白くなるのかわからないまま会議に持ってきます。実際会議にかけてみると、思いもよらないものが受けて企画になったりしますね。あとは、自分が苦労すれば、自分を痛めつければ記事になるんじゃないか、と思ってしまいますね。よくないんだけど。

 身近なことを、ただ笑うためだけじゃなくて、ドキュメンタリーみたいな形できちんと調べて記事にしようと思っています。DPZは「ディスカバリーチャンネル」(アメリカで放映されている自然科学系ドキュメンタリー専門チャンネル)だと思ってるんです。面白いんだけど、興味深くて、ちょっと勉強になって、役に立つ。だから軸はまじめなところに置いています。書く時はどうせ怖くなって、すぐにダジャレなんか入れて面白げにしちゃうから。

「DPZは今更マルチメディア化を目指します」

── 今後の方向性を教えてください。

 将来、何らかの形でお金にするということを考えると、サイトを盛り上げてもっと価値を高めていきたい。例えば、1日1本の特集記事に加えて、ぱっと読める短い読み物を1日2本程度入れたいですね。会社は「お金儲けしてくれ」と言って来るけど、サイト全体の有償化はしたくない。作ってる方は面白いものを作りたいし、面白いものを作ったら、たくさんの人に見てもらえないともったいないので。

 デザイン面では、動画をこれまで以上に入れていきたいですね。今更マルチメディア化。

大塚 「横ばい」で行きます。

古賀 DPZ始めてから、自分で面白いと思えるものに出会えて嬉しいので、これからもどんどん、自分の守備範囲を広げていきたいです。

photo 左から住さん、大塚さん、Zくん、林さん、古賀さん
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