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ブログは企業に広がりつつある――シックス・アパート社長

» 2004年10月01日 14時23分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「Webサイトの作成が個人から始まり、企業に広がったように、ブログも今後は企業に広まっていくだろう」――ブログソフト「Movable Type」やホスティング型ブログサービス「Type Pad」を国内販売するシックス・アパートの関信浩社長はこう話す。実際、7月に発売した「Movable Type 3.0」日本語版は、法人ライセンスが個人ライセンスと同じくらい売れているという。

関社長

 企業での活用方法はさまざまだ。例えば、P&Gが9月21日にオープンした「Iラブ困ったさんコンテスト」。Movable Typeで構築したブログに、一般ユーザーから投稿されたエピソードを掲載。トラックバックを受け付けるほか、気に入った投稿に読者が投票できるなど、ブログの双方向性を生かしたシステムになっている。

 ブログは社内イントラネット代わりにも使える。日立製作所が8月から販売している「BOXER イントラブログ」は、Movable Typeを使って、企業の部署別、プロジェクト単位などでブログを開設できる環境を構築。情報共有ツールとしてブログを活用する。「リリース直後、日立にかなり多くの問い合わせが来たと聞いている」(関社長)。

 また、“社長ブログ”など広報目的のサイトや、小規模なECサイトの構築などにも利用可能だ。ビック東海は、Type Padを個人事業主やSOHO向けに販売する「OneOffice BeBLOG powered by Type Pad」を7月にスタート。広報ツールとしての活用を提案する。

ISPはブログで儲かっている?

 同社は、@Niftyの「ココログ」や、OCNの「ブログ人」といったISPのブログサービスに、Type Padをカスタマイズ提供している。

 ISPの新たな収入源として期待されるブログサービスだが、自社ユーザー向けには基本機能を無料提供するISPも多く、開始当初は採算が取れるか疑う声もあった。

 ふたを開けてみると「ニフティもOCNも、有料ユーザーが当初予想よりも多いと聞いている」(関社長)との結果。「米Six Apartのサービスでも、ユーザー数が最も多いのは一番高額で高機能なサービス。高品質のものを提供すれば、ユーザーはお金を出して買ってくれることは分かっていた」(関社長)。ブログサービスは、ビジネスモデルとして確立し始めているようだ。

「ヒントは個人ユーザーがくれる」

 無料サービスは原則として行わない方針の同社だが、個人ユーザー向けに機能を限定したMovable Typeだけは無料提供し続けてている。多数の個人ユーザーをキープして新機能の芽を育てるためだ。

 「個人ユーザーは、不具合の指摘や新機能のリクエストをくれる貴重な存在」(関社長)。例えば、携帯電話から記事投稿できるモブログ機能は、国内個人ユーザーの声から生まれた。

 個人のブログ利用が盛り上がれば、ブログ認知が上がり、結果として企業でのブログ導入もスムーズになるという効果もある。「ブログのメリットを言葉で説明するのは難しく、知らない人には分かってもらいにくい。ブログユーザーが企業にいれば、導入へのハードルが下がる」(関社長)。同社は今後も、個人向けと企業向け両方で、ブログを盛り上げていきたい考えだ。


 シックス・アパートは、Type Padのマスコットキャラクターデザインを募集中。最優秀賞に選ばれた作品1点にはiMac G5が、優秀賞4点には1万円相当の商品が贈られる。応募は電子メールで行う。締め切りは10月20日。詳細はWebサイトで。

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