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「ゲーム市場、実は成長している」 次世代機も予測する浜村社長アジア オンラインゲーム カンファレンス2005(1/2 ページ)

» 2005年03月01日 20時59分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 2月28日から2日間にわたって行われている「アジアオンラインゲームカンファレンス2005」(東京・工学院大学)で3月1日、エンターブレインの浜村弘一社長が基調講演した。縮小を続けているといわれる国内ゲーム市場だが、ソフトとハードの売り上げにオンラインゲームの利用料を合算すれば市場は右肩上がりに成長中という。業界の裏話を交えつつ、次世代XboxやPS3の発売時期、今後発売されるネットゲームタイトルの予想も飛び出した。

「リメイクや漫画・アニメ原作ものばかりが発売され、オリジナル作品が出ない最近のゲーム市場は、健全ではない」と浜村社長

「ゲーム業界は縮小していない」

 「ゲーム市場は縮小し続けていると言われるが、本当だろうか」――浜村社長は、パッケージゲームソフトとゲーム機ハードの売り上げを合算し、オンラインゲームを除外した市場調査は、ゲーム市場の実体を反映していないと話す。オンラインゲームを合算すれば、市場は右肩上がりに成長しているという。

 「ネットゲーム以前は、新型ゲーム機が出る5年ごとに市場が拡大し、パッケージソフトの売り上げに依存しつつゆるやかに下降するというサイクルが繰り返された。ネットゲームが普及すればこの波がほとんどなくなり、市場は右肩上がりで成長し続けるだろう」。

「PS3」「Xbox」「Revolution」はどうなる?

 「次世代ゲーム機は、家庭用も携帯型もネット対応が当たり前になる」――「PS3」や次世代「Xbox」はもちろん、任天堂の次世代機「Revolution」もネット対応するだろうと浜村社長。次世代機はゲームの枠を飛び越え、ホームサーバとしての機能が搭載されると話す。

 携帯型ゲーム機もネット対応が進んでいる。PSPは無線LAN通信機能を装備。ニンテンドーDSもインターネット接続に対応する可能性があるという。「(スクウェア・エニックス執行役員の)河津(秋敏)さんも、ネットゲームに注目していると聞いている。DSの発表会の席で『DSとPlayOnlineをつなぎたい』という趣旨の発言をしていた」。

PSPとDSの販売台数予想を、PlayStationの売れ行きに重ねたグラフ。「PSPの売れ行きはPSに似ている。PSPは今年末に250〜300万台出るだろう。DSの売り上げはソフトに引っ張られる。『ポケモン』シリーズが年末までに出れば、500万や600万売れるかもしれない」

 “ゲーム機”の開発に注力し、付加機能をそれほど追求してこなかった任天堂も「ゲームから出ようとしている」。DS開発にたずさわった任天堂の宮本茂専務は、2年前から“非ゲーム”の開発を課せられてきたという。「犬を飼って楽しむDSソフト『Nintendogs』を見て分かるように、コミュニケーションに注目しているようだ」。

 浜村社長は、次世代機の発売時期も予想。次世代Xboxは今年末のクリスマス商戦期に、PS3は来春になるとした。「PS3はPSPの1年後、今年末発売と言われていた。米国でPSPの発売が今年春にずれ込んだため、PS3もその1年後、来春になるだろう」。

ネットゲームの国内本格普及、2008年から

 次世代XboxやPS3が出そろう2006年ごろには、ネットゲームのインフラは整う。しかし、爆発的な普及は2008年まで待たねばならないという。現状では、ゲーム機のネット接続が複雑で面倒なためだ。「ファミ通のある編集部員は、PS2のネット接続に2日かかったと聞いた」。

 浜村社長は、無線LANの普及がブレイクスルーになると見る。「ゲーム機の電源を入れるだけで無線LANにつながり、自動でネット接続される仕組みが一般化すれば、ネットゲームは爆発的に普及するだろう」。

 2008年までの“空白”を埋めるのは、携帯電話のゲームコンテンツだという。「多くのゲームメーカーが携帯ゲームに積極的。キャリアも前向きに取り組んでいる。DSレベルのゲームが携帯でできるようになるのはそう遠くないだろう」。

 浜村社長は、携帯電話と家庭用ゲーム機やPC、携帯型ゲーム機などがシームレスに連携するという未来像を描く。「PS2とPCでゲームをプレイし、携帯電話で認証を行う――といった連携が当たり前になり、すべてのプラットフォームのボーダーラインがなくなる」。

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