新しい衛星ナビゲーションシステムGalileoを構築するための契約をめぐっては、残る2つの入札者が契約を融合し、共有することになる。欧州委員会と欧州宇宙機関(ESA)により、最適な入札者を選択するために設立された意思決定団体Galileo Joint Undertaking(GJU)は、そう説明している。
Galileoは米国の全地球測位システム(GPS)と似た衛星ナビゲーションシステムで、衛星の一群から信号を伝達し、世界中のどこであれ、地上の携帯端末でその位置を計算できるようにするためのもの。
このシステムは民間向けに設計されており、外国政府が管理する軍事システムへの依存から、企業を解放することが狙い。特に欧州では、独自の衛星ナビゲーションシステムが欠けている。支持者によれば、こうしたアプローチにより、戦争が起きた場合にサービスが突然打ち切られたり、暗号化されたりするリスクを回避できる。
2つのコンソシアムによる共同入札は6月27日、GJUに提出された。2つのコンソシアムEurelyとiNavSatのいずれを選別すべきかを、これまで何カ月間も決断できずにきたGJUだが、今回の共同入札を承認するとなれば、ようやく結論に達することになる。
Eurelyは、Aeropuertos Espanoles y Navegacion Aerea、Alcatel SA、Finmeccanica 、Hispasatで構成され、iNavSatには、European Aeronautic Defence and Space、EADS NV(EADS Space)、Inmarsat、Thalesが参加している。
GJUは両コンソシアムによる共同入札を受理した理由として、個別の入札よりもコストが低かった点や、これによりプロジェクトをスケジュール通りに進められるであろう点を挙げている。
GJUの2つの主要な支持団体である欧州委員会とESAは、Galileoで予想されている32億ユーロの開発コストのうち、約11億ユーロ(13億ドル)を前貸しする。中国の国家リモートセンシングセンターも2億ユーロを融資する。
Galileoの基本的な信号は無料で提供され、より高度な暗号化サービスは有料で提供される。Galileoの運営者は、こうしたサービスの売り上げにより、欧州委員会やESAによる前貸し金を返済できる。
米国と欧州連合は2004年、欧州の衛星ナビゲーションシステムをGPSと相互運用できるようにするための合意書に署名した。これにより、双方は競合ではなく協力できることになる。
今月21日には、コンソシアムのメンバーであるAlcatelが、もう1つ別の欧州衛星ナビゲーションシステムが操業準備テストに合格したことを発表した。近く、生命安全外の用途向けに高精度なナビゲーションサービスを提供する準備が整う見通しという。
このEuropean Geostationary Navigation Overlay Service(EGNOS)は、アフリカ上空の地球静止軌道の3つの静止衛星から追加の信号を伝送することによって、適切な受信機を備えた欧州ユーザー向けにGPSの精度を向上させるサービス。こうした衛星は、正確な位置に置かれた地上局のネットワークと組み合わせることで、GPS信号の精度の向上や、所定の場所と時間におけるGPS信号の信頼性の計算に利用できる。ESAによれば、追加の信号により、誤差は5メートル以内にまで高められる。
北米では、米連邦航空局(FAA)が運営する同様のシステム、Wide Area Augmentation System(WAAS)がGPSの精度向上を実現している。
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