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イーサネットより速い無線LAN、Linksysが提供

» 2005年12月01日 10時38分 公開
[Carmen Nobel,eWEEK]
eWEEK

 Cisco SystemsのLinksys部門が、Fast Ethernetに匹敵するスループットとデータ転送速度を提供する新しいWi-Fi機器を販売する。ただしこれは、プロプライエタリな技術を使っている。

 Linksysの「WRT54GX4 Wireless-G Broadband Router」と「WPC54GX4 Wireless-G PC Card」はAirgo Networksの第3世代MIMO(multiple-input, multiple-output)チップセットを基盤としている。Airgoによると、このチップセットは最大240Mbpsのデータ転送速度をサポートでき、これに対して「実際の」TCP/IPのスループットは120Mbpsだという。

 「この世代の製品のクールな点は、もはやノートPCのためだけのものではないということだ」とAirgoのグレッグ・ローリーCEO(最高経営責任者)は語る。「デスクトップを接続すれば、イーサネットを捨てられる」

 MIMO技術は1つのチャネルで複数のデータストリームを実行して、スループットを最大108Mbps――802.11a/gの最高速度の約2倍――に高める。MIMOのバリエーションの中には、次世代規格IEEE 802.11nの中核を成しているものもある。多くの企業向けハードメーカーは、この標準の承認を待ってからMIMO製品を投入する計画だが、タスクフォース内の2つの勢力の対立による行き詰まりのため、承認は2007年初頭以降になりそうだ。

 10月には、Enhanced Wireless Consortium(EWC)という分派が団体設立および独自仕様で802.11n承認を迅速化する計画を発表した(10月11日の記事参照)。同団体にはIntel、Cisco、Atheros Communications、Broadcom、LinksysなどWi-Fi分野の大手が参加しているが、Airgoはこれに参加していない。ローリー氏は、EWCが当初内密に動いていたことを批判し、同団体は実際に承認プロセスを遅らせていると主張した。「駆け引きよりも作業を増やしてほしい」

 だがEWCのメンバーは、皆がプロプライエタリな技術を採用する前にやるべきことがあると主張する。

 「標準を前進させなくてはならないというこの決定には、同じ考えを持つ企業が参加している」とWi-FiチップセットメーカーAtherosのCTO(最高技術責任者)ビル・マクファーランド氏は語る。「衝突事故が起こりそうになっていた。EWCの加盟企業はすべて需要に見合う製品を立ち上げようとしていたが、それらの製品には相互運用性がないだろう」

 プロプライエタリ技術で前進してきた企業として、Airgoは小規模事業所向けのハードメーカーとうまくやってきた。潜在顧客は、Linksysからのサポートは、非標準技術への不安を緩和する役に立つと語っている。

 「標準に準拠しない製品を推しているのが無名の小さな企業だったら、その製品を買わないだろう。だがそれがLinksys/Ciscoなら、MIMOはもしデファクトスタンダードにならなくても、少なくとも、多数の製品に使われているからという理由だけで市場に対応してもらえると思う」とセキュリティコンサルティング会社Skaionの共同創設者スティーブ・ダースト氏は語っている。

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