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2011年、2割の世帯が地デジを見られない──NRI予測

» 2005年12月07日 20時33分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 このままでは、2011年度になっても地上デジタル放送を見られない世帯が残る――野村総合研究所(NRI)は12月7日に発表した2010年までの情報・通信市場予測でこう指摘した。

 地デジの受信エリアは順調に拡大しているが、対応端末の普及が遅れており、2011年のアナログ放送停波時にデジタル放送を視聴できない世帯が19%残る見込みだ。

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 同社によると、現在販売中のテレビの約55%がアナログテレビ。「テレビの買い換えサイクルは8年程度。2011年度までの完全な置き換えは難しい」と同社情報・通信コンサルティング一部の葛島知佳副主任コンサルタントは指摘する。

 放送局にとっては中継局への投資が大きな負担になっているといい、中小規模中継局の整備が間に合うかも不透明だ。

 対応テレビを持たない世帯とエリア外の世帯を合わせて全体の19%が、2011年度になっても地デジを視聴できない見込み。特に端末の普及の遅れが深刻で、アナログ停波を遅らせるか、地デジチューナーのセットトップボックスを貸し出すといった対策が必要になりそうだという。

 地上デジタル放送の市場規模は2005年度は2299億円。今後、アナログ放送からの広告の移行が進み、2010年度には1兆8507億円となる見通しだ。

VODは収益化が課題

 同社は地デジのほか、ビデオオンデマンド(VOD)やモバイル放送の市場規模も予測。VODはも拡大しているものの、収益化はまだ先と見ている。

 市場規模予測は以下の通り。

(単位:億円)

分野 2005年度 2006年度 2010年度
地上デジタル放送 2299 4493 18507
BSデジタル放送 1459 2013 4918
ケーブルテレビ 2252 2414 2743
移動体向け放送 0 5 502
ネット放送 90 190 940
VOD 90 140 620

 テレビ局が次々にVODに参入するなど、VOD市場も拡大中。ただ初期投資が大きいため短期の黒字化は難しく、順調にユーザー数を伸ばしてきたUSENの「GyaO」(関連記事参照)も現状は赤字という。

 同社アンケートによると、VODの利用意向は高いものの、実際に料金を支払ってコンテンツを視聴しているユーザーは少ないといい、有料モデルで運営しているテレビ局VODはユーザー集めに苦心しそうだ。

 ただ「第2日本テレビ」は開始当初から大手広告主を獲得しているといい、テレビ局の参入がVODの広告ビジネスを大きく前進させる可能性もある。

携帯向け放送はキャリア争奪戦

 移動体向け放送市場は、来年1月から始まるワンセグ放送で立ち上がる。携帯電話へのチューナー搭載が普及のカギとなるものの、キャリアにとって魅力的なビジネスモデルが見えていないのが現状だ。

 ワンセグ放送は、「モバHO!」や、来年開始予定の地上デジタルラジオなど別技術とも競合する。同社は、携帯キャリアにもメリットのあるビジネスモデルを提示できる技術が勝ち残ると見ている。

衛星放送は成熟化 BSデジタルは赤字続き

 チューナーを標準搭載したデジタルテレビの普及で、BSデジタル対応端末の出荷台数は増えているものの、昨年度は民放BS 5社合計で売上高182億円、営業損失137億円と厳しい状況だ。WOWOWやSKY PerfecTV!といった有料衛星放送も加入者数が伸び悩んでおり、事業の再構築が必要な時期に来ていると同社は指摘している。

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