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「ナンプレ」パズルの良問を自動・大量生成する新システム

» 2006年09月06日 21時04分 公開
[ITmedia]

 「SUDOKU」(数独)の名称で人気のパズル「ナンバープレース」(ナンプレ)。同パズルの高品質な問題を自動的に大量生成できるシステムを、タイムインターメディアが開発した。一般的なPCで短時間に問題を作成できる上、パズル作家の考え方を取り入れることで「良問」を生成できるようになっているという。

photo 新システムと開発者の藤原さん

 ナンプレ自体は19世紀末にフランスで登場したものがルーツ。日本の出版社「ニコリ」が「数独」と名付けて1984年に掲載し、1997年に日本で数独の本を目にしたニュージーランド人が2004年11月から英Timesに連載を始め、翌年、ブームに火が付いた。

 人気が広がるにつれて問題の需要も増えているが、これに対し「良い問題」の供給が足りていないのが現状という。新システムの開発に当たった同社常務・知識工学センターの藤原博文さんによると、主流はコンピュータによる自動生成だが、良問と悪問の区別がつかない「にわかパズラー」が多いためか、粗製濫造ぎみの問題がはんらんしているという。

 藤原さんは「パソコン初心者の館」の運営や、C言語関連の著書などでも知られる著名なプログラマー。パズル歴は中学生のころから40年といい、コンピュータも「パズルをやるために始めた」という。

 ナンプレ問題生成システムは「そのうち世界の誰かが良質なものを作るだろう」と様子見をしていたが、できそうな気配がないので自分で作ることにしたという。粗悪な問題のはんらんは「『パズルとはつまらないもの』という誤解を招いてしまう。いまは『脳ブーム』だが、粗悪な問題を解いたら脳は悪化する。良問の普及で「パズルの本当の楽しさを知ってもらう」のがねらいだ。

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 新システムはすべてJavaで書いた。ます上に適当に数字をばらまき、問題が成立しそうなところに数字を置き、しらみつぶしで成立する問題を集めるなどして問題を大量に生成。人工知能と知識工学をいかしてパズル作家の考え方を取り入れ、問題を評価して良問を選ぶ──という考え方だ。一般的なPCでも1問あたり30秒から1分程度で作成できるという。

 問題のます上にあらかじめ置かれている数字の数が少ないハイレベルな問題から、初心者が「次も解きたくなる」ような問題まで、さまざまなレベルの問題を作れるのが特徴だ。「良い問題=難しい問題、ではない。初心者向けに簡単な良問を作るほうが実は難しい」(藤原さん)

 生成した問題は、Web用のXML形式や印刷用のEPSファイルで提供できる。プログラム自体を公開する考えはないが、良問を安価に提供することでパズル人気が高まればと期待している。藤原さんは「ナンプレは最初の一歩。今後は人工知能を使った囲碁将棋と同レベルの高度なパズル問題作成にも挑戦したい」と話している。

 新システムで試作した問題は藤原さんのサイト上で公開している。

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