ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

Vista発売はMacに影響するか

» 2007年02月15日 10時54分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 MicrosoftのWindows Vistaの発売は向こう数カ月の間コンシューマー向けPCの販売を促進するだろうが、同OSがAppleのMacintoshの売り上げに及ぼす影響は最小限にとどまるだろう。最近の調査報告書にはこのように記されている。

 2月14日の調査報告書の中で、Piper Jaffrayのアナリスト、ジーン・マンスター氏はBest Buyの50の店舗を調査し、1月のコンシューマー版Vista発売で購入者は新しいPCに目を向けたが、Macの売り上げに影響はないようだとしている。

 調査を行った50店舗のうち、72%はVistaが新しいPCへの関心をかき立てているとマンスター氏に報告したが、29%はそうではないと伝えた。ただし、80%はVista搭載システムの売れ行きは予想よりも少ないと語った。

 しかしながら同氏は、購入者がMicrosoftベースPCの購入にこだわった場合、第2四半期のMac売り上げに影響する可能性があるとして注意を促している。同氏の報告書によると、Macの市場シェアは同四半期までに2.5%から2.3%に下落する見込みだ。

 「VistaプリインストールPCへの需要が積もっているため、1〜3月期にはPC売り上げが急増すると予測している。これがMacの市場シェアを押し下げるかも知れない」(マンスター氏)

 PC、特にノートPC購入への関心が新たに生じたことで、コンシューマーがMacをWindowsコンピュータの代替選択肢として検討する可能性もかなりある。

 「広範なコンピュータのアップグレードは、選択肢を評価する方向へコンシューマーを向かわせるかもしれない。そうなればAppleは購入者をMacプラットフォームに引きつけられる可能性がある」(マンスター氏)

 「長期的には、Macの市場シェアが上昇すると確信している。PC市場がポータブルにシフトするのに従い、Appleの市場シェアにとって、この分野でのシェアが比較的高いことがメリットになるだろう」と同氏は付け加えた。

 Best Buyの店舗を調査することで、同氏はVistaがコンシューマーに加えて、一度に少数のコンピュータしか購入しない中小企業に及ぼす影響を調べることにした。これは、ほとんどがコンシューマーかクリエイティブ職であるMacユーザーの大半に影響するが、同社は教育市場で強い存在感を持っている。

 同氏の調査は、Vistaの法人市場への影響をカバーするものではない。複数のアナリストは、IT管理者は向こう1年間Vistaでより厳しいテストを行うため、同OSの導入は遅いと予測してきた。ほとんどの大企業がVistaを採用するのは2010年末までかかるかもしれないが、コンシューマーと中小企業による同OSの採用はずっと早いと見られる。

 AppleはiPhoneやiPodなどの家電製品、そしてグラフィックデザイナーなどハードコアな専門家ユーザーにもっと集中するために、法人市場を離れている。

 この戦略と「ハロー効果」が、人々がWindows PCの代替選択肢を探し求める中でMacの売り上げを押し上げてきた。

 IDCおよびGartnerによる最近のPC販売報告書によると、Appleは米国コンピュータ市場で約5%のシェアしか持たないが、同社は2006年にシェアを30%拡大した。これは業界他社を上回る伸びだ。業界観測筋は、AppleのIntelプロセッサへの乗り換えがMac売り上げ拡大に貢献したが、同社は2006年第4四半期にMacの売り上げが横ばいだったと報告した。

 Appleは新しいMac OS X 10.5「Leopard」立ち上げの準備をしており、Mac対PCというも疑問における変数の1つについては、向こう数週間のうちに答えが出そうだ。これまでAppleは、Vistaに搭載されている機能の多くはMac OS X 10.4「Tiger」で既に導入されており、同社のOSは依然としてインストールして使うのがずっと容易だと示すことでユーザーに訴求してきた。

 マンスター氏のこれまでの分析によると、AppleはMac OS X 10.4を2005年4月にリリースした時に、同OSを約200万本出荷した。同OSは最初の1年間で約700万本出荷された。

 それ以来、Mac OSのインストールベースは1600万から約2000万に拡大したと報告書にはある。これは、現行のMacユーザーの40%が、春にLeopardがリリースされた時にアップグレードすることを意味しているのかもしれない。

 AppleはLeopardのリリース日について沈黙を続けているが、マンスター氏は4月後半と予測している。

 報告書によると、これらの数字が示唆するのは、AppleがLeopard立ち上げの最初の月に、同OSを約260万本出荷する可能性があり、1億3000万ドルの売上高という棚ぼたを実現できるかもしれないということだ。これはまた、約900万本のLeopardが年内に出回るという意味かもしれない。

 「Leopardのリリースにより、Macの市場シェアはわずかな累積需要からの上昇圧力により恩恵を受けるだろう。さらに同OSの立ち上げで、投資家はAppleの歴史におけるMacの章にもう一度注目するだろう」(マンスター氏)

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.