先週、Google PageRankのスコアが急落してブログ界を悩ませたが、その原因はGoogleが検索アルゴリズム改善のために実装したデータ管理抽象化レイヤーだと、IT専門家兼ライターが指摘している。
WashingtonPost.com、Forbes.com、Engadget.comなど、PageRankスコアが低下したサイトは、「データスペース」の最初の成果を目の当たりにしている。
データスペースはGoogleの検索アルゴリズムに導入されている技術で、同社のWebマスターガイドラインに違反してPageRankスコアを上げようとするサイトオーナーの試みをふるいにかけるフィルターを含むと、Googleの特許・技術文書を調査したスティーブン・アーノルド氏は言う。
この技術はGoogleエンジニアで元ワシントン大学コンピュータサイエンス教授のアロン・ハレビー氏が実装したもので、Googleのプログラマブル検索エンジンの手法を基にしている。ハレビー氏はデータマイニングとビジネスインテリジェンスに関してかなりの経験を持っている。
「人々が反応しているのは、乱用の排除、利用できる広告の種類の増加、そしてもちろん、Googleの収益化のために設計された一連の技術の最初のものだ」とアーノルド氏は10月26日にeWEEKに語った。
Googleの広報担当者は、PageRankとデータスペースの関連を否定し、データスペースは検索にもPageRankにも関係ないとしている。進行中のプロジェクトについて秘密主義のGoogleは、データスペースをどう使っているかについてもそれ以上詳しく話さなかった。
アーノルド氏は、Googleはデータスペースを使って、異なるコンテンツを関連度に基づく単一の検索結果リストにまとめていると語る。10月22日にスペインで開かれたInfonortics ICIC 2007で発表した論文でも同様の説明をしている。
「WebコンテンツあるいはGoogle Booksの単一の検索結果リストの代わりに、クエリーに関連した多数の種類のコンテンツが検索結果に表示され、Googleインタフェースからすぐにアクセスできる」と同氏の論文には書かれている。この論文は、Googleはデータやテキストのマイニングの強固な基盤を持っていると結論づけている。
Googleのハレビー氏がデータスペースの推進役となっている。同氏は「Indexing with Dataspaces」「Dataspaces: The Next Frontier for Data Integration」というタイトルの論文を執筆あるいは共同執筆したことがある。これらの論文は今年、サンノゼ州立大学の講義で発表された。
データスペースは企業向けの技術的アプローチのように見えるが、ハレビー氏は、コンシューマー指向のアプリケーションに適用するべきと考えている。それはGoogleが得意とするところだ。
「わたしは、データ管理コミュニティーはエンタープライズコンピューティングから焦点を移して、コンシューマー向けアプリケーションのことを考えるべきだと思っている」と同氏はワシントン大学の自身のページで述べていた。
同氏はソフトメーカーNimble Technologyを立ち上げ、2003年にActuateに売却した。その後、Webサイトのデータベースを検索するエンジンを開発するTransformicを設立し、2006年にGoogleに売却した。
データスペースは、ユーザーがコンテンツを見つけるのを手助けするものだが、アーノルド氏は、これはリンクファームや有料リンクでGoogleのランキングシステムを「出し抜こうとする」サイトも排除する役にも立つと語る。同氏は、Googleが計画的なSEO(検索エンジン最適化)に毒されない検索結果の提供に真剣であることを同氏の研究が浮き彫りにしていると考えている。
「騒いでいる人たちは遅れている。自分たちの『近道』が見破られたからだ」と同氏は指摘し、Googleが意図的にPageRankシステムを調整してサイトを妨害しているとの見方を冷笑した。
同氏は、Googleにとって検索アルゴリズムは常に数学であるとし、サイト運営者がGoogleのWebマスターガイドラインに従っていれば、ひどいPageRankスコアを付けられることはないだろうと指摘した。
同氏はまた、数週間のうちにデータスペースによって検索アルゴリズムがもっと厳しくなると予測している。
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