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「ネットの向こうにも人はいる」――“荒れない掲示板”gooニュース畑(1/2 ページ)

» 2007年11月21日 18時34分 公開
[宮本真希,ITmedia]
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 「ネットといえども、その向こう側に人がいることを意識する。そういう文化を育てたい」――気になるニュースや、ニュースに関する意見・コメントを投稿できるgooの「ニュース畑」はこんな思いで運営されている。スタッフが投稿を全て事前に確認し、内容に問題がある場合は掲載しないというルール。荒れないように整えた場を用意し、安心して議論に参加してほしいという。

 「ネットによって便利になったものがたくさんある反面、ネットによって嫌な思いをすることもある。それはなぜなんだろうと考えた時『ネットといえども、その向こうには人間がいるんだ』と意識することが重要と思った。そういう文化をネット畑で育てたい」――同社ニュース担当の加藤祐子さんは話す。

ニュースの「花」をみんなで咲かせる

画像 投稿記事のタイトルわきに、植物のアイコンを表示。ポイントが溜まると植物が成長し、つぼみを付けて花を咲かせる

 ニュース畑は11月13日にオープンした。日々のニュースとそれに対する意見、普段の生活で気づいたことなど「ニュースの種」となる話題をフォームから投稿してもらい、編集スタッフがチェックした上で掲載するユーザー参加型のニュースサイトだ。他ユーザーの投稿に対して、コメントや評価を付けることもできる。

 投稿・コメントは誰でも可能。ユーザー登録も不要だが、投稿内容やコメントはスタッフが全て確認し、問題ないと判断した場合だけ掲載する。荒らしや中傷、著作権侵害を含んだ投稿、根拠のない憶測、客観性や冷静さに欠ける偏った主義主張だけの羅列――といったものは掲載しない方針で、掲載前に投稿の一部を編集することもある。

 「ニュースの種」をみんなで育てていくというコンセプト。gooIDでログインしてから利用すると、投稿が掲載されたり他ユーザーから評価されるとポイントがもらえる。ニュースの横には植物のアイコンを表示。ポイント増加に応じて植物が芽吹き、最後には花を咲かせる。盛り上がった話題は、投稿内容をまとめた記事を作成してgooニュースで配信する。

CGMだが「ログイン不要」「事前チェック必須」

 開発を始めたのは約1年前。「gooは、ブログや『教えてgoo』などCGM(Consumer Generated Media)サービスの利用率が高い。CGMに注力していこうという会社の方針の下で、gooニュースにもオリジナルコンテンツが必要と考えた」と、同社ニュース担当の橋本将功さんは経緯を説明する。

 ニュースを中心としたCGMといえば、ソーシャルニュースサイトやニュース掲示板などが一般的だ。「2ちゃんねる」のように完全匿名で利用できるものや、ユーザーIDを取得してログインした上でニュースを投稿し、自由に投稿できる――といったものが多い。

 投稿内容を事前にチェックしているサイトは少なく、あってもあまり盛り上がっていないのが現状。だがそんな中でニュース畑は、「ログイン不要」かつ「事前チェック必須」という形を選んだ。

「投稿しやすいが荒れない」場で建設的な議論を

 ログイン不要にしたのは、投稿のハードルを下げるためだ。「面白いディスカッションをしてほしいだけだから、登録は不要。個人情報を登録しないと投稿できない仕組みはハードルが高すぎるし、自分なら使いたくない」(加藤さん)

 「ログインを要求したり、実名投稿にした方が(荒らしが減って)編集コストがかからないのかもしれない。編集スタッフは若干名で、すべての投稿を確認するのは本当に大変だが、たとえ編集スタッフが大変でも、ユーザーが投稿しやすい仕組みにするのがベストだと思う」(加藤さん)

 事前チェックは、議論の場を荒らさないための工夫だ。「ニュースはデリケートなコンテンツ。事前に確認しないとどうしても、根拠のない犯人探しや中傷コメントが出てきてしまう。ユーザーの多様な意見を反映していきたいが、中傷が当たり前にあるような荒れている場では、参考になるような意見がなかなか投稿されないのではと考えた」(橋本さん)

 理由はもう1つある。「せっかくいい意見を投稿しても、その中でユーザーが意識せずに差別語を使っていたために、話の中身とは関係のない部分で議論が盛り上がってしまう――そんな状況はもったいない」(加藤さん)。編集者が差別語などを修正することで、建設的な議論ができる場を目指す。

「向こう側に人間がいる」と意識してほしい

 事前の確認や編集については、ネットユーザーから批判の声も上がった。だが「内容を改変するようなことは原則ない。差別語がある場合に書き直したり、引用されたリンクのURLが間違っていないか確認するなど、ユーザーが読みやすい形に常識の範囲で編集するだけ。編集に対する考え方などはスタッフブログでも随時伝えて理解を求めていきたい」と加藤さんは話す。

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