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“拡張現実メイドさん”をツンツンしたら、「エッチなのはいけません!」と怒られたワイヤレスジャパン2008

» 2008年07月23日 18時57分 公開
[宮本真希,ITmedia]

 「きゃあ」「エッチなのはいけません」――メイドさんをツンツンしたり、服を脱がせたりしていたら、怒られてしまった。

 といっても本物のメイドさんではない。手に持った棒で画面の中の“電脳メイド”をつついて反応を楽しんだり、その姿を様々な角度から眺めたりして楽しめる「電脳フィギュア ARis」の話だ。ゲームベンチャー・芸者東京エンターテインメントが開発し、「ワイヤレスジャパン2008」(東京ビッグサイト、7月24日まで)で展示している。

 「電脳コイル」に触発されて開発したというARisは、会場で大人気。ブースには人だかりができており、ARisを不思議そうに見ている人や、実際に動かして楽しんだり、携帯電話のカメラで撮影している人も。同社が10万円かけて制作したというメイド風コスプレを着たコンパニオンもいた。


画像 Webカメラ(手前左)で、電脳キューブと電脳スティックを撮影。ARisのCGと合成してPC画面に表示する
画像 ARis

電脳フィギュアARisとは

画像 ブースには人だかり

 電脳フィギュア ARisは「バーチャルなフィギュアを現実世界に登場させる、世界初の一般向け拡張現実(Augmented Reality)エンタメソフトウェア」というふれこみで、今秋に発売する予定。1.5センチ角のプラスチック製「電脳キューブ」と、キューブを先端に付けた長さ10センチの「電脳スティック」で構成され、Webカメラと無償配布する専用ソフトを組み合わせて遊ぶ。


画像 10万円のコスプレ衣装を着たコンパニオンさん

 PCにソフトをインストールし、Webカメラの前に電脳キューブを置くと、PCに表示したWebカメラ画像上に、3Dの電脳メイドさん「ARis」が、電脳キューブの上に立った姿で現れる。電脳スティックをキューブの上で動かせばメイドさんをつついたり、服を脱がしたり着せたりできるというわけ。体をつつくと数百種類のせりふをランダムに話す。

 電脳キューブと電脳スティックの各面に貼り付けてある記号のような模様が仕組みのカギだ。模様はキューブの位置などをカメラに認識させるマーカーの役割。カメラに対するキューブの相対的な位置や向き、大きさを特定し、これに応じた3DキャラをWebカメラ画面上に合成して表示できるという仕組みだ。

というわけで、つついたり脱がしたりしてみました

 記者も電脳スティックでARisの体にタッチしてみたところ、ARisに「ご主人さま、こんなところを触ってはいけません」と言われてしまった。すみませんすみませんと思いつつ、服も脱がせてみることにした。

 お着替え専用スティックに持ち替え、ARisに再びタッチ。すると、水色のワンピースに白いエプロンを着けたARisが「きゃあ」と言ってピンクのベビードール姿に。もう一度タッチすると水色の下着姿になり、「エッチなのはいけません」「ダメです、もうっ」と怒られてしまった。

 スティックを動かすだけでPC画面のメイドさんが動くのはとても不思議な感覚だが、画面だけを見ていると、Second Lifeのような3D仮想空間で、自分が操作しているアバターが表示されているのと同じように見え、“拡張現実”という感覚はあまりなかった。

 そこで同社がおすすめするのは、ディスプレイにヘッドマウントディスプレイ(HMD)を利用するという方法で、同社スタッフは実際、HMDでARisと遊んでいるという。確かにHMDなら、目の前にARisがいるような感覚を味わえそうだ。

いろんな角度からARisを眺めてみた(下からも)

画像 下からのぞくと……

 カメラの位置を変えたり、キューブを回転させると、位置や角度に応じてさまざまな角度からARisを見られる。

 カメラにキューブを近づければARisが大きく表示され、キューブを傾けて下から撮影すれば、ARisのスカートの中をのぞいてしまうことも可能。キューブを傾けるにつれ、徐々にARisのスカートの中が見えてくる様子は、現実に勝るとも劣らないスリルがあり、女性の記者もなぜかドキドキしてしまった。

 キューブの位置や角度によっては画像が表示されないこともあるようで、今後、電脳フィギュアや電脳スティックをカメラで認識する際の精度を高めていくことが課題だ。

 カメラの前に別の模様のキューブを置けば、ほかのキャラクターやアイテムを表示させることも可能。例えばARisのそばに「ARiSのお道具箱のキューブ」を置くと、ARisが歩いていってお道具箱を開け、ほうきやテディベアを取り出す。

開発のきっかけは「電脳コイル」

画像 HMDを付けたところ

 開発のきっかけは、「アニメ『電脳コイル』にはまったこと」(同社の田中泰生社長)。電脳メガネをかけると、実際の街並みにバーチャルな街並みが重なって映し出され、“電脳ペット”を飼ったりできる――という設定を、ゲームで再現しようと思ったという。

 電脳フィギュア ARisは、電脳キューブと電脳フィギュアを2種類ずつセットにして「ゲームソフトと同じくらいの価格になる」予定。HMD付きで販売することも検討しており、「HMD付きで、価格をプレイステーション 3と同じくらいに抑えられれば発売したい」としている。

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