富士通研究所は、仮想デスクトップの操作応答性を向上させる高速表示技術を開発した。動画や高精細な画像転送する際のデータ量を従来の約10分の1に削減し、スマートフォンなどモバイル環境に広げることが可能になるとしている。
仮想デスクトップ環境では、クラウド内に置いてあるデスクトップ画面データを、画面更新のたびごとにクライアント端末に送信することで遠隔地からの利用を可能にしている。PCのローカルにインストールしたアプリケーションと同等の操作応答性を実現するには1クライアント当たり10Mbps程度のデータ転送が一時的に必要だが、ネットワーク帯域の問題などから難しい場合が多く、操作の不便につながっていた。
新たに開発した仮想デスクトップ高速表示技術「RVEC(レベック:Remote Virtual Environment Computing)」では、画面更新が多い領域を自動的に抽出し、更新頻度に応じて動画領域と静止画領域に分類。各領域に適した圧縮方式を使ってクライアント端末に送信することで、全領域を静止画で圧縮して送信していた従来に比べ、データ量が少なくて済み、応答性が向上するという。またCAD画像をクリアなまま高効率で圧縮する技術も開発した。
同社内の環境(1024×1280ピクセル)で、720×1280ピクセルの動画を再生した場合のデータ転送量を比較したところ、データ転送量を約10分の1の930Kbpsに抑えることができたという。また2次元CADは平均約670Kbpsで操作できたという。
現在2次元CADで社内試行を進めており、本年度中に3次元CADに対応させ、商用クラウドサービスへの導入を目指す。スマートフォンから仮想デスクトップにアクセスするソリューションへの適用も検討していく。
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