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「auモメンタムは完全に回復」 KDDI、11年度は「順調な決算」

» 2012年04月25日 20時56分 公開
[ITmedia]
photo 決算を発表する田中社長

 KDDIが4月25日発表した2012年3月期(2011年度)の連結決算は、営業収益が前期比4.0%増の3兆5721億円、営業利益が1.2%増の4776億円と増収増益を確保した。携帯電話事業(au)では純増シェアの拡大やデータARPUの上昇などを果たし、田中孝司社長は「auモメンタム(勢い)は完全に回復した」と述べた。(KDDI田中社長、iPhoneは「貢献大きい」 12年度はスマホ800万台販売へ

 経常利益は2.4%増の4512億円。純利益は6.5%減の2386億円だったものの、法人税率引き下げに伴う繰延税金資産の取り崩しなどが要因。前期比2000円の増配(年間1万6000円)も果たす。田中社長は「順調な決算だった」と総括した。

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photophoto 4つの指標が「劇的に改善」

 携帯事業は営業収益が5.3%増の2兆7270億円、営業利益が4.5%現の4192億円と増収減益だったものの、田中社長が就任時にauの経営指標として掲げた4指標が「劇的に改善した」と胸を張る。

 解約率は10〜12月期に業界最低水準の0.56%に低下。流出が続いたMNP(携帯番号ポータビリティ)は9月にプラスに転じ、iPhoneを発売した10月以降は大幅な純増ペースで推移している。契約者の純増シェアも7〜9月期の18.6%から10〜12月期には29.0%に急上昇、1〜3月期は33.4%に。データARPUは1〜3月期に2580円と、前年同期比で10.3%の大幅増となった。

 スマートフォンの販売ペースは7〜9月期以降に加速し、通期では合計563万台を販売。期初目標の400万台を大幅に上回った。

 田中社長が掲げる「3M戦略」に基づき、固定通信契約とのセットで携帯料金を割り引く「auスマートバリュー」を展開し、3月末でauの66万契約/44万世帯が適用。スマートバリュー適用のau新規契約比率は、損益分岐点の20%を超えて推移している。スマートバリュー適用により料金が割安になることで、スマートフォンへの機種変更を後押しした効果もあったという。

photo LTEはサービス開始を前倒し

 今期は3M戦略を本格化。スマートバリューを起点にした携帯−固定の相互販売を積極展開する。データ通信の無線LAN+WiMAXへのオフロードも進め、11年度末に20%だったオフロード率を12年度末には50%に引き上げる計画だ。携帯の純増数目標は210万と前期並みの高水準を見込み、スマートフォン販売台数は800万台(販売比率は約7割)を掲げる。

 LTEは当初予定の12月を前倒ししてサービスを開始する予定だ。田中社長は開始時期は明言しなかったが、「高品質のLTEを一気に全国展開したい」と意気込み、12年度末に人口カバー率96%を目標に掲げる。

事業セグメントを再編

 今期から事業セグメントを変更し、携帯/固定という分け方から、家庭・個人向け通信を「パーソナル」、家庭・個人向けのコンテンツや決済サービスを「バリュー」、法人向け通信やクラウドサービスを「ビジネス」、海外事業を「グローバル」に再編。通信インフラをベースにコンテンツ・決済サービスを拡大させていくイメージだ。

 今期の連結業績見通しは、営業収益が3兆5800億円(前期比0.2%増)、営業利益が5000億円増(4.7%増)、経常利益は4900億円増(8.6%増)、純利益は2500億円(4.8%増)。旧セグメントで比較した場合、携帯事業は4期ぶり増益転換を見込む。WiMAXを展開するUQ WiMAXも単年度黒字への転換を果たす見通しだ。

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