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日テレ「スッキリ!!」偽の被害者出演問題でBPO「放送倫理違反とまでは言えない」 専門家依存を指摘

» 2014年03月05日 19時53分 公開
[ITmedia]

 日本テレビ「スッキリ!!」で2012年に放送されたネット詐欺特集に偽の被害者が出演していた問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)は、出演者がネット詐欺専門の弁護士から被害者として紹介されていたことから「実際の被害者であると信じるに足る相応の理由や根拠は存在した」として、「放送倫理違反とまでは言えない」との判断を示した。

 番組には男女2人が被害者として出演したが、実際には被害者ではなく、弁護士の当時の所属事務所の職員だったという。日テレは「裏付け取材が不十分だった」と謝罪し、BPOの放送倫理検証委員会(委員長・川端和治弁護士)が審議した。

 BPOは、番組が十分な裏付け取材を行わずに偽の被害者の証言を放送し、視聴者の信頼を損なったと指摘した一方、社会的に信頼の高い弁護士の紹介と立ち会いで取材が行われており、「裏付け取材不足は否めないものの、放送倫理違反があるとまでは言えない」とした。

 その上で、(1)匿名報道の常態化が偽の被害者や虚偽の表現を容易にする土壌になっているとして「顔なし映像のデメリットを考えてほしい」、(2)「専門家への安易で過度な依存への警戒を考え直してほしい」、(3)「自己規制で取材・制作現場が萎縮しないよう留意してほしい」──と指摘した。

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