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「これ誰が買うの……?」 ニッチすぎるのに人気沸騰 スマホで最大4枚のSIMを切り替える「SIM CHANGER デルタ」が生まれたわけ(3/3 ページ)

» 2016年08月30日 08時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]
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意外なB2B需要も?

photo どの向きから見ても三角形が見えるデザイン

 同社の甲斐祐樹さん(セールス/マーケティング・広報)は「完全にニッチ狙いの製品だったので、正直に言えば、製品発表会に来た報道陣にウケなかったらダメだなと思っていました。しかし実際にはその場で出資してくれた人までいて、想定以上にすごく好評でした」と自信を見せる。

 クラウドファンディングの製品ページには出資者からのコメントも集まっている。例えば、スマートフォン向けゲームの開発会社に勤めるユーザーからは、「通信事業者それぞれのSIMカードを差し替えてアプリの動作検証をしていると、物理的にスロットが壊れてしまうことがある。こういった問題を解決できそうだ」と業務用途で期待する声が寄せられているという。

 「こうした声を聞くと、意外とB2Bの需要もあるのかなと。たとえスマホゲーム開発会社の検証部隊にしか需要がなくても、全世界で売れれば数千万円といった需要となり、ビジネスになるのでは」(岩佐CEO)

ニッチ需要をつかまえるのに「コツはない」

 「決して100万台売れるデバイスではない」――岩佐CEOが製品発表会でこう話していたように、SIM CHANGER デルタが非常にニッチなガジェットであることは間違いない。しかし、確かに存在する需要を確実にモノにしている。この需要を見極めるにはどんなコツがあるだろうか。甲斐さんは「そこにコツはない」と話す。

 「クラウドファンディングにプロジェクトを出して反応がよかったら『あったね』、悪かったら『なかったね』という感じ。昔はこれができなかったので、今は良い時代だなと。とにかくクイック・アンド・ダーティー(時間をかけず、素早くアウトプットして先に進むこと)で、クラウドファンディングに出すところまでパッと持って行く。ここまでの流れを2〜3カ月でやってしまえば、最低限のコストで需要があるかないかを実証できると考えています」(岩佐CEO)

photo 岩佐CEOが「SIM CHANGER デルタ」(右)と共に持っているのは、スマホと連携する“IoTラジオ”「Hint」だ(左)
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