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行政連携で「インフラ化」進めるLINE 次の“最大のチャレンジ”は

» 2017年06月15日 23時04分 公開
[太田智美ITmedia]

 LINEは6月15日、都内で開いた年次イベント「LINE CONFERENCE 2017」で、新たな3つのビジョン「Connected」「Videolized」「AI」を発表した。特にAI(人工知能)は「次の5年における最大のチャレンジ」と位置付け、スマートフォン向けサービスに次ぐ中核事業として開発に取り組んでいく。

LINE CONFERENCE 2017

 「ポストスマートフォンはAI」――LINEの出澤剛社長はこう話した。AI戦略の第1弾として、クラウドAIプラットフォーム「Clova」を搭載したスマートスピーカー「WAVE」を、1万5000円(税別)で今秋発売する(関連記事)。

 Clova連携サービスの拡大に向け、トヨタ自動車など複数社との提携も発表(関連記事)。ソニーモバイルコミュニケージョンズが開発している音声コミュニケーションデバイス「Xperia Ear Open-style」(エクスペリア イヤー オープンスタイル)や、ヤマハの歌声合成技術「VOCALOID」(ボーカロイド)とも連携し、共同開発を進めていくという。

LINE CONFERENCE 2017

 「Connected」で推進するのは「LINEのインフラ化」だ。LINEはこれまでも、東京都渋谷区の行政サービス支援などの取り組みを行ってきた。新たに2017年中をめどに、内閣府が運営するマイナポータルとコミュニケーションアプリ「LINE」を連携させる計画だ(関連記事)。

LINE CONFERENCE 2017

 具体的には、マイナポータルのLINE公式アカウント「マイナちゃん」を17年内に開設し、行政からのお知らせを届ける。ユーザーは表示されたURLをタップし、マイナポータルに移動することで各種電子申請を行える仕組みだ。全ての入力作業はマイナポータル上で行うため、マイナンバーなどの個人情報をLINEが取得することはないという。

 インフラ化の一環として、100以上の企業やブランドと連携したショッピングサービス「LINEショッピング」もスタート(関連記事)。ユーザーはLINEアプリ上で提携ブランドの商品を検索・閲覧し、ブランドのサイトに移動して購入できる。

 「Videolized」(動画フォーカス)では、月間利用者数1300万人を超えるという動画配信プラットフォーム「LINE LIVE」に新機能を搭載。17年内に、LINEアプリ上でLINE LIVEの視聴やコメント投稿ができる「LINE LIVE プレーヤー」を提供する。

LINE CONFERENCE 2017

 さらに、動画にインストリーム広告を挿入できる「LIVE Video Ads」も17年内に提供。LINE LIVEではこれまでも、視聴者数やコメント数、ハート(お気に入り)数などに応じたLINEポイントを動画配信者に提供している(関連記事:「LINE LIVE」1カ月で100万円以上稼ぐ配信者も)。新たにインストリーム広告を導入し、動画配信数を底上げしていく考えだ。

 LINEトークの新機能として、顔認識フィルターや複数の写真を選択してBGMやエフェクトを付ける「スライドショー」、トークルーム内の友達に対してライブ動画配信を行う「チャットライブ」も導入する予定。友達とイベント日程を共有したり、ゲームをしたりすることができる「チャットアプリプラットフォーム」も公開した。

 LINEは2011年6月23日にサービスを開始し、今年6年目を迎える。出澤社長は「1年先は分からない。時代に応じて変化する」と話した。

太田智美

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