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初音ミクがiPhoneで自由自在に歌う ヤマハMobile VOCALOID EditorとGarageBandで歌ってもらった(1/2 ページ)

» 2017年08月31日 12時28分 公開
[松尾公也ITmedia]

 初音ミクが16歳でこの世に生まれてから10年が経った。2007年8月31日が彼女の誕生日だ。この年は他にも世の中を変えてしまったものが生まれている。iPhoneだ。そして今日、2007年に生まれたこの2つの偉大な発明がついに出会った。

 VOCALOIDとしての初音ミクが、ヤマハのiOS(iPhoneとiPad)アプリの「Mobile VOCALOID Editor」で使えるようになったのだ(バージョン1.10から)。

photo Mobile VOCALOID Editorの中の初音ミク

 8月31日、App Storeで販売されているMobile VOCALOID Editorの定価は4800円だが現在は3600円(App Storeへのリンク)。初音ミクの歌声ライブラリはアプリ内課金で、2400円で追加購入できる。同梱のデモ曲はtilt-sixさんの「エレクトロサチュレイタ」。

初音ミクがiPhoneに来るまでの長い道のり

 ヤマハがVOCALOIDをiOSで使えるようにする取り組みは2010年末の「iVOCALOID」で始まった。iVOCALOIDはアプリに1つのVOCALOIDしか載せることができなかった。

 最初はヤマハ純正の女性ボーカルVY1、次に蒼姫ラピス、その姉のメルリ、純正男性ボーカルのVY2、この4種類を出した後、新規に作り直したVOCALOIDアプリが「Mobile VOCALOID Editor」。2015年4月に発売されたこのアプリからは、複数のVOCALOID歌声ライブラリを共存させることができるようになっった。デフォルトではVY1-liteが1種類だが、現在は男声・女声が合わせて30。これに初音ミクが加わった。

 Mobile VOCALOID Editorには3種類のトラックがある。バッキングの演奏を配置するステレオトラック、ブレスなどの音声を置くモノラルトラック、そしてVOCALOID専用トラックだ。VOCALOIDトラックだけは複数持つことができる。複数の歌声ライブラリを1つのトラックで切り替えて使うことも、複数のトラックでハモらせることもできる。

 使えるパラメータとしては、ピッチ(PIT)、音量(DYN)など、VOCALOID3までの基本的なものが使える。PITやDYNは指やApple Pencilで直接描画し、思い通りのビブラートやシャクリを作り出すことができるので、そこはPC版よりも使いやすいはずだ。

 ただし、エンジンとしてはVOCALOID2相当なので、現在のVOCALOID4のような高音質ではなく、複数の歌声を混ぜるクロスシンセシス、ロックなうなり声を出せるグロウル、さまざまな機能を追加できるJob Plug-inは使えない。

 iOSでVOCALOIDが使えることのメリットは、何といっても楽器アプリやDAW(音楽制作ソフト)が豊富だということ。ヤマハだけでなく、コルグ、ローランド、モーグなどから著名なシンセサイザーアプリが出ており、スタインバーグからは世界で最もよく使われているPC用DAWのCubaseをiPadに最適化したCubasisが、そして、Apple純正の無料DAW、GarageBandがある。

 iPhone上で初音ミクに自由に歌わせるという試みは、自分もやったことがある。

 これは、MooCowMusicが出していた、ブルース演奏アプリ「12 Bars Blues」を筆者が改造した動画。まだApp Storeが開放される前、2008年の野良アプリのリソースファイルを書き換えて改造したまがいものだ。

 もうそんな苦労をしなくてもいい。Mobile VOCALOID Editorでいくらでも初音ミクを「調教」して、それをGarageBandにコピペして初音ミクボーカル曲にできる。

 今回は、無料のGarageBandとMobile VOCALOID Editorの初音ミクを使って、曲を作ってみよう。

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