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量子コンピュータ環境下のブロックチェーン利活用を議論 電通国際情報サービスとCERNなど、会議体立ち上げ

» 2018年03月06日 15時51分 公開
[ITmedia]

 電通国際情報サービスと、ブロックチェーンベンチャーのシビラは3月6日、世界最大規模の素粒子物理学研究所・欧州原子核研究機構(CERN)と共同で、量子コンピュータ環境下でのブロックチェーンの利活用などについて議論する会議体「Table Unstable」を立ち上げることで合意したと発表した。

 「量子コンピュータが当たり前となった世界で、量子ネットワークでつながれた量子コンピュータ群に何ができるのか」をテーマに、量子コンピュータとブロックチェーン技術の各領域から有識者を集めて議論を重ね、その過程を広く公表する計画。活動の第1弾として、在欧量子力学者・量子コンピュータ研究者を主な対象とした国際ワークショップを、4月27日にスイス・ジュネーブで開く。

 ブロックチェーン技術やスマートコントラクトが普及し、コンピュータに求められるデータ処理能力が増加の一途をたどる中、量子コンピュータへの関心が高まっている。量子コンピュータ研究とブロックチェーン技術研究は、今後の実用・普及段階で緊密に関連していくと想定されるが、それぞれ独自の発展を遂げてきたことから、これまで横断的に議論されることはなかったという。

 電通国際情報サービスとシビラは、ブロックチェーン技術と量子技術を組み合わせることが、量子コンピュータ環境下での情報セキュリティ強化につながると考え、CERNの研究者や国内有識者らと意見交換を重ねてきたという。この活動の枠組みをさらに広げ、実用に向けた議論を領域横断で加速させるため、Table Unstabeを組成したという。

 Table Unstableには、2社とCERNの研究者のほか、国内量子コンピュータ研究の第一人者・京都大学の藤井啓祐准教授、計算機ホログラムなどの研究で知られる筑波大学の落合陽一准教授らが参加。国内外の企業や学術団体、研究機関からの参加者を交えた議論の過程や成果を広く公開するという。

 活動成果を踏まえ、強固な情報セキュリティ技術に根ざしたトークン経済基盤を実装する社会「トークン・ソサイエティ」の実現を目指した研究を進めるとしている。

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