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» 2018年06月04日 06時00分 公開

これからのAIの話をしよう(言語編・後編):AIコピーライターの衝撃 広告代理店は今後どうなる? (2/4)

[松本健太郎,ITmedia]

AIコピーライターはセミプロを超えたといえる?

―― 人工知能の能力を進化させるには、一般人ではなくコピーライティング能力を持つプロがフィードバックしないといけないわけですね。そういう意味では、コピーライターという職業は無くならないでしょう。引き続きセンスのある教師データを作成し、評価を下す役割が求められそうです。

山本 AIが人の仕事を奪うなんて言われていますが、このコピーライティングのAIに関しては、僕はいたら助かると思う。最終的に人間が承認するという仕組みだと思うが、十分に共存できると感じました。

―― コピーライティングに関して言えば、「AIだから」という下駄(げた)を脱いでも、既にセミプロを超えるような能力を持ち始めているという理解でいいでしょうか。

狩野先生 狩野准教授

狩野 むしろ、それは皆さんにお聞きしたい。今回例示した内容を見て、皆さんがどう思ったのか。一線を越えていると思ったなら、そうなんでしょう。セミプロのレベル感は分からないですけど、私は(AICOが)駆け出しコピーライターぐらいにはなったかなと思ってます。

山本 そうですね、僕もそう思います。ただ、人工知能に考えさせたコピーで、現状の値段(コピーライターがクライアントから受注する価格)を維持できるかな……という思いはありますよね。

 あとは、ありがたみ。何万本でもコピーを作れるとなっちゃうと、もうなんでもいいやってなりますよね。例えば、糸井重里さんが考えたたった1本のコピーって、すごいありがたみがあるじゃないですか。

 でも、100本、1000本、1万本と自動生成されて「どれにする?」みたいな議論になると、作っている側も感情として腑に落ちるのかなぁ。

―― 現状のまま技術が進めば、セミプロを超えたAIと、人間のプロフェッショナルなコピーライターと、僕のような一般人の三極対立構造になるかもしれません。僕がAIを使えば人間のプロとも対峙できるかもしれませんが、AIを進化させられるのは今のところプロフェッショナルだけ。評価者の育成が急務だと感じます。

狩野 評価者に権威が無ければ評価にならないでしょう。あるいは、一般消費者に対する広告効果があったかという観点でしょうか。何をもって良しとするかが分かりません。

“見出し職人”に脅威? 見出し生成AI

山本 日経新聞の一部の記事は、AIが作っているという話も聞きました(参考記事)。

狩野 実は私の研究室では「AIによる記事の見出し生成」(参考記事:中日新聞)もやっています。見出しは記事内容を基に生成するという制約があるので、不正解が比較的はっきりしているという点でコピー生成より楽です。見出し特有の表現がありますから、そこに当てはめればいいのです。

AI AIが生成した見出しと、中日新聞の整理部記者が作った見出し(白背景がAI、オレンジ背景が整理記者)

 中日新聞で見出し生成AIを使ってもらいました。新聞社には見出しを作る専門部署がよくあるのですが、自動生成に対する期待と同時に不安もあると思います。

―― 見出し生成だけでなく、イラストや作曲などの分野にもAIが登場しています。トッププレイヤーは大丈夫でも、良い線いってるなというレベルのアマチュアなら人工知能によって駆逐されてしまうのでしょうか。

狩野 見出し生成AIが一般的になると、コモディティ化(画一化)されて誰でも見出しを作れるようになるかもしれません。では、現状のレベルはどうかというと……例えば、歌手の安室奈美恵さん引退の記事には「安室 来年で引退 大ヒット曲『なみえ』」と見出しをつけました。名前のルビを曲名と勘違いしてしまっている。

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