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“Facebook情報流出”の問題点を整理する 「パスワード変更」は不要かITりてらしぃのすゝめ(1/2 ページ)

» 2018年10月11日 08時00分 公開
[宮田健ITmedia]

 2018年9月末、米Facebookから少々大きな発表がありました。Facebookの「View As(特定のユーザーへのプレビュー)」機能に脆弱性があり、攻撃者が「アクセストークン」を不正に取得することができていた、という発表です。この影響は約5000万アカウントにおよび、予備的措置を施した約4000万アカウントを加えると、その数は計9000万アカウントに上ります。なお、同社は既にView As機能の脆弱性を修復しており、該当のアカウントにはお知らせ画面が表示されていたはずです。

FB Facebookが9月28日に発表したリリース

 私のアカウントは対象ではなく、何が起きたのかはFacebookの報告だけしか把握できていない状況です。これを幸いと考えるかハズレと考えるかは微妙な所ですが、このニュースを見て多くの方は「パスワードを変えなきゃ!」と思ったかもしれません。

 しかし、上記のFacebookの報告の中には「利用者の皆さまのパスワード変更は不要です」という「あれっ?」と思うような文言があります。本当にパスワード変更は不要なのでしょうか。むしろ定期的にパスワードを変更する必要があったりするのでしょうか。

 今回の件に関してはパスワードを変更する必要はないと私は思っています。しかし、用心するなら他にもチェックしてほしい所があります。

「アクセストークン」が盗まれるということ

 今回の事件では「アクセストークン」が盗まれたとされています。ユーザーIDでもパスワードでもなく、アクセストークンが盗まれるとはどういうことでしょうか。

 これがもし、「Facebookのサーバに侵入した何者かによって、IDとパスワードが盗まれた」のならば一大事です。そのセットがあれば、第三者がFacebookに“正規に”ログインし、投稿をしたり、過去のメッセージをのぞいたりできるわけですから。

 もし本当にIDとパスワードが盗まれたのならば、私たちは真っ先にパスワードを変更すべきです。とはいえ、このような問題が起きた場合は、Facebook側がパスワードを強制リセットするはず。今回それをしていないということは、パスワード自体は侵害されていないと判断できます。

FB Facebookより

 では、アクセストークンが盗まれると何が起こるのでしょうか。Facebookの解説では、このような文言が書かれています。

アクセストークンは、Facebookにログインし続けるためのデジタル暗号で、それがあることで利用者はパスワードを毎回入力する必要はなくなります。

 アクセストークンとは、「この利用者は正しいユーザーです」というのを証明するようなもの。つまり、ID/パスワードが正しく入力されました、という証しですので、実はパスワードが盗まれたのと同じような意味を持ちます。ただし、このアクセストークンはFacebook特有のものですので、ID/パスワードの組を別のサイトに試す「パスワードリスト攻撃」といったものには使えません。そのため、パスワードそのものを変更する必要はない、ということになります。

 このアクセストークンは、正しく作られていればログインするたびに毎回異なる内容になります。そのため、Facebookでアクセストークンが不正に取得された場合や、ログアウトして発行済みのアクセストークンを無効にした場合でも、再ログインすることで第三者が不正にアクセスすることができなくなります。

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