10月21日(日)の午後0時20分、日本の首都・東京は、その大部分が「さら地」になりました。
これはスマートフォンゲーム「Pokemon GO」(以下、ポケモンGO)のイベントで多くのトレーナーが直面した悲しい現実、そして希望のお話です。
秋晴れの日曜日、その日はレアなポケモンが3時間だけ大量発生する月に一度のイベント「コミュニティデイ」でした。今回は、人気ポケモンの「ダンバル」が主役。時間内(午後4時まで)に「メタグロス」まで進化させると「コメットパンチ」という特別な技を覚えます。しかもシルバーの「色違い」の登場も期待されていました。さらに今回はタマゴ孵化に必要な歩く距離が4分の1で済むという特典もありました。
正午。ポツポツとダンバルがわき始めました。ダンバルを捕獲しながら数分待ち、おもむろにTwitterやFacebookをチェック。これは、どこかの誰かがタマゴのセットやポケモンの進化に成功したことを確認してから自分も取り掛かるため。過去のコミュニティディで経験した(数え切れない)トラブルが、彼らを用心深くしていました。
さらにアプリの動作が安定していれば、ポケモンを引き寄せる「おこう」、ポケモンゲット時などの経験値を倍にする「しあわせタマゴ」、「ほしのすな」を増やす「ほしのかけら」など有料アイテムを使用します。回線トラブルなどが起きればアイテムが無駄になってしまうので、ここまで我慢していたわけです。
最初の15分間、われわれは幸せでした。何しろレアポケモンが湧き放題の獲り放題。すぐに10体、20体とダンバルが増えていきました。中には色違いが出た人も。
午後0時20分ごろ、早くも「終わりの始まり」が訪れました。
画面内でポケモンを選択できなくなり、再起動すると今度は地図だけ。ジムやポケストップが表示されず、あれだけ湧いていたダンバルも消えています。
「出ませんか」
「ダメですね」
コミュニティディにありがちなコミュニケーションがあちこちで繰り返されます。ただ、このときはまだ「いつものトラブルで、待っていればそのうち改善する」と誰もが考えていました。しかし、時間は無情にも経過。10分待っても20分待っても復旧しません。「しあわせタマゴ」「ほしのかけら」など30分間しか効果が持続しない有料アイテムが無駄に消費されていく様子をなすすべもなく見守るトレーナーたちの背中に哀愁が漂っています。
午後0時41分、ポケモンGOの公式Twitterアカウントがコメントを出しました。「現在障害が発生しており、一部Pokemon GOにつながりにくくなっています。ただいま原因を調査中です。ご迷惑をおかけし申し訳ございません」
「原因を調査中」は「しばらく復旧できません」という意味です。時間が空いたトレーナーたちは、今の状態でできることを探し始めました。
ある人は、歩けば「ふかそうち」の残距離が減ることに気付き、手持ちのタマゴを割っていきました。ただポケストップがないので空いた枠にタマゴを補充できません。手持ちのタマゴを割ってしまえば終了です。
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