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iPhoneとMacを行き来して原稿を書く方法CloseBox

» 2019年04月19日 07時27分 公開
[松尾公也ITmedia]

 Jedit ΩというMac用テキストエディタを使って文章を書いている。1995年に初代のJeditが登場してからずっと使っているので、そろそろ四半世紀という長いつきあいだ。PC-9801のMS-DOSではREDを、Windowsでは秀丸を使ってきたが、Macに関してはこのJedit一択。

photo Jedit Ωの操作画面

 このソフトの今のお気に入りは、iCloudを使って複数のMacで同期が取れるというところ。iCloud仮想ドライブにJeditのフォルダができて、そこに保存しておくと、ドキュメントを開いていてもアップデートしてくれる。

 前身のJedit Xのときは、外部筆者の用字用語を自媒体向けに修正するためのマクロを書いて原稿整理に活用していたのだが、マクロの仕様が変わってからは標準機能だけを使うシンプルなやり方に変わった。今はiCloud同期で自宅と会社と、別のMacで記事の続きを書くのに重宝している。

 これはこれで便利なのだが、最近少し不満が出てきた。

 iPhoneの音声入力を使って記事を書くことが増えてきたので、iOSとの連携機能が欲しくなったのだ。

 iOSではフリック入力よりも音声入力の方が圧倒的に速い。Jeditでも最新のmacOSを使えば音声入力ができるのだが、MacBookはいつも持ち歩いているわけではない。

 iPhoneでのテキスト入力にはもっぱらApple純正の「メモ」を使う。「メモ」アプリにはmacOS版もあるし、iCloudで同期を取ってくれるので便利なのだが、Macで使うときはフォントが小さすぎて、まとまった文章を書くのには向いていない。ファイルの単体管理もできない。そこで、Jeditにコピペして作業を進めることになる。

 だが、Macで完成させられずにiPhoneで続きを書こうとすると、また「メモ」アプリにコピペし直さないといけない。Macで完成させると覚悟を決められればいいのだが、必ずうまくいくというわけではない。「JeditのiOS版があればなあ」とSNSに書き込んだ。

 日本語エディタは何がいいかという議論がマストドンインスタンスのグルドンでされていたのでそんな投稿をしたら、MacでもiOSでもiCloud同期してくれるテキストエディタがあるというありがたい助言が。

 iA Writerというドイツ製のアプリ。早速買ってみた。iOS版が1080円、Mac版は3600円。どちらもApp Storeで買える。しかもWindows版、Android版まである。Windows版はiCloudをインストールしておけば、同期が可能だ。

 iA Writerを使って最初にとまどったのは、段落はじめのインデント。ITmediaでは全角スペースで始まる書式になっているのだが、それをやると、インデントが強制的に行われてしまう。このへんは欧米製エディタだからなのだろう。これには回避方法があることが分かった。環境設定>エディタ>インデント…>ブロック要素マークダウンで、ホワイトスペースのチェックを外すのだ。これで、スペースを入れてもインデントしないようになる。

photo macOS版での設定変更

 これは、iOSでも同様だ。画面下部の設定(大小のAが並んでいるアイコン)からエディタの設定>インデントで、ホワイトスペースのチェックを外す。

photo iOS版での設定変更

 iOS版iA Writerではさらにメリットがある。iOSでは全角スペースが入力できないのだが、iA WriterではiPhoneでもiPadでも全角スペースが入力できるのである。スペースの全角と半角は、言語モードで自動切り替え。そう。これでいいじゃないか。なぜiOS標準はフリック入力でもスペースが半角強制なのか。

photo iPhoneで全角スペースが入力できる

 とにかくこれで問題は解決した。iPhoneで原稿が書ける。

 Mac版iA Writer、原稿に集中できるのはいいけど機能がちょっと少ないんだよな。まあ慣れるしかないか。そう思っていたのだが、意外な解決策があった。

 iOS版ではIA Writerだけではなく、iCloudに保存されている他のテキストファイルもリストアップされていて、読み込める。つまり、Jeditで書いたドキュメントも読み書きできるのだ。

 なんだ、macOS版iA Writer(3600円)は買わずに済んだのか……。

 というわけで、Macでは従来どおりJeditを、iOSではiA Writerを使って、双方を行き来しつつ原稿を書けるようになった。電車のつり革につかまりながら、iPhone版iA Writerで編集できる。うん、快適だ。

 いま気づいたけど、iPhone版iA Writer、フォントがちょっと変わってる。数字のゼロ「0」の真ん中に点が付いていて、オー「O」と区別しやすくなってる。おもしろいな。

photo oとOの区別がつけやすい

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