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「天然マグロ」の品質、AIが判定 職人の目利きと約85%一致

» 2019年05月30日 16時53分 公開
[ITmedia]

 電通、電通国際情報サービス、双日は5月29日、AIの画像解析技術によって冷凍天然マグロの品質を判定するシステム「TUNA SCOPE」を発表した。水産加工業者がマグロの検品業務に使用したところ、判定結果の約85%が目利き職人の評価と一致した。職人の後継者が不足する中、勘と経験に基づく目利きの技術を後世に残す狙いがある。

 天然マグロは、漁場や漁法によって色合いや鮮度が異なるため、職人が尾の断面を検品して良しあしを選別している。“一人前”になるには約4000匹の目利きが必要とされ、最低10年はかかるという。

photo AIがマグロの品質を判定する

 電通ら3社は、同じ枚数のマグロの断面画像と、職人が4〜5段階で品質を評価したデータを、約1カ月でAIに学習させた。このAIを活用し、品質を判定するスマートフォンアプリも開発。スマホをマグロにかざすと、身の締まり具合や脂の乗り方を分析し、品質を4段階で評価できるようにした。

 このアプリを使って3月に実証実験を行い、(1)品質判定の精度、(2)最高品質と判断したマグロの市場評価――の2項目を検証し、一定の手応えを得たとしている。

photo アプリを使ってマグロを評価する様子

 (1)では、水産加工業者マルミフーズの工場にTUNA SCOPEを試験導入。マグロの検品業務に使用したところ、判定結果の約85%が“その道35年”の職人の判定と一致した。

 (2)では、TUNA SCOPEが最高ランクと判断したマグロを「AIマグロ」と名付け、すし店「産直グルメ回転ずし 函太郎Tokyo」で5日間(3月27〜31日)にわたって提供した。その結果、約1000皿を売り上げ、客の約89%が味に高評価を示した。

 高評価を受け、実証実験終了後も機械学習を継続しており、「さらなる精度の向上と実用化を目指す」としている。

photo 電通による発表

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