ヤフーがネット広告業界で広く使われている用語の商標登録を相次いで出願し、ネット上で「独占的に使用するためではないか」と疑問視されていた件で、同社は7月8日、そうした意図はないと否定するコメントを発表した。何者かに商標を“先取り”されてトラブルに発展するのを防ぐ目的があり、登録できた場合は「業界で広く使えるようにする」という。
近年、認知度の高い用語やフレーズなどを、第三者が“本家”に先駆けて商標出願する例が相次いでいる。昨今では「そだねー」「PPAP」などが“先取り出願”されて問題となった。こうしたケースでは、手続き上に不備があり登録されない場合がほとんどだ。しかし先取りされた企業が、トラブルを恐れて出願を断念することもある。
そうした中、ヤフーが「リッチアド」「レスポンシブ」「入札戦略」「オーディエンスカテゴリー」「ラーニングポータル」などの商標を出願し、ネット上で「どのような意図があるのか」などと物議を醸していた。
これに対し、ヤフーは「自社サービスで使用する商標にとどまらず、ネット業界全体でも先取りされると影響が大きい商標も、防衛的な観点から出願している」と説明。「『独占的に使用する意図があるのではないか』とご心配をお掛けしているが、そのような意図はない」と否定した。
業界全体で使用されており、特許庁の審査で「識別力がない」「一般的な名称である」と判断された用語は、先取りを狙った悪質なケースを含め、どの企業も商標登録できない。今回のヤフーの出願が審査を通過するかは分からないが、同社は「登録された場合でも、それらの商標を独占する意図はなく、業界で広く使ってもらえるようにしたい」としている。
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