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AIに従うことの危険性 「正しい意思決定」という幻想から抜け出すには?これからのAIの話をしよう(データリテラシー編)(3/4 ページ)

» 2019年10月04日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

 残念ながら、データは基本的に漏えいするものです。大企業が情報を改ざんし、うその報告を重ねた例も私たちはたくさん見てきました。こうした悪いニュースは、これからも出てくるでしょう。

――いち企業に任せるのではなく、国レベルでの規制やルールが必要になるのでしょうか。

 そうです。国による規制と法律、そして罰則などが必要になります。あなたはデータサイエンティストでありながら執筆活動もされているんですよね。米Facebookは、数千万人におよぶ個人情報流出問題で、約50億ドルもの罰金を命じられたとされています。私はそれを聞いて、ジャーナリストが「1人当たり約2ドル程度でしかない」(罰金を20億人以上いるFacebookユーザー数で割った場合)と書かなかったことに逆に驚きました。Facebookが支払った罰金は、1人当たりで換算すると場合によってはコーヒーも買えないかもしれない。私たちは一人一人がデータリテラシーを持たなければいけません。50億ドルと聞いて「すごい額だなぁ」と思うだけではいけないのです。

――非常に耳の痛い話です。

 データを使うことで何ができて、できないのか。誰もが分かるようにならなければいけません。人々の考え方を変えなければならない時期に来ているでしょう。データを管理することをデータオーナーシップといいますが、「所有する」とはどういうことでしょうか。そこから議論を深めなければならないでしょう。

数字からは見えないもの

――ワイガンドさんは、データ分析をする上でいろいろな実験もされています。著書の中ではGoogle Glassを1年間、ほぼ1日中かけていたというエピソードがあり、驚きました。

 そうです、自分でやるのが一番なんです。それに代わるものはありません。私は暗号通貨はあまり詳しくないので、本を読むだけでは理解できません。なので、実際にウォレットを作って暗号通貨を買ってみるしかないんです。とにかくやってみて、そこから学ぶというのを皆さんに勧めたい。

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