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老舗トーマス・クック破綻にも便乗、crookの歪んだ手口IT基礎英語

» 2019年10月07日 09時41分 公開
[鈴木聖子ITmedia]

 英国の老舗旅行代理店、Thomas Cook Groupが経営破綻した。同社の手配で英国から海外に旅行中だった人たちは突然、予約していた便が全てキャンセルになり、英政府がチャーター便で帰国させるなど混乱が続いている。

photo 破綻を知らせるプレスリリース

 そのニュースに関連して「Have you been Thomas Crooked?」という記事を見つけた。

 この記事によると、失業したThomas Cookの元従業員や足止めされた旅行客をだます狙いで、不正目的と思われるドメインの登録が急増しているという。例えばThomas Cookの文字の一部を目立たないように入れ替えたり、もっともらしい単語を付け加えたりしたドメインは、助言や補償を求める旅行客や従業員をおびき寄せて、個人情報を入力させる詐欺サイトに利用される可能性がある。

 「crook」というのはそうした悪事をはたらく連中のこと。この記事の見出しはCookとcrookを引っかけ、さらにcrookを動詞として使って、「Thomas Cook絡みで悪さをされていませんか?」という意味合いを持たせている。記事中では「cybercriminals」「fraudsters」という単語もcrooksの同義語として使っている。

 crookは「悪者」「詐欺師」「犯罪者」などの意味があり、サイバー空間の悪者は「cyber crook」(またはcyber-crook、cybercrook)とも呼ばれる。詐欺サイトを使って人をだましたり、マルウェアをまき散らしたり、他人のコンピュータに不正侵入したりといったインターネット犯罪全般にこの言葉が使われる。

 英単語の解説サイトThe Word Detectiveによると、crookは北欧の古ノルド語で「引っ掛けるもの」を意味する「krokr」が語源で、もともとは羊飼いが持つ先が曲がった杖のようなものを指していた。それが転じて曲がったり歪んだりしたもの全般を指すようになり、さらには心が歪んだ不道徳な人や悪いことをする人を意味するようになったという。

 Thomas Cookといえば、一昔前までは欧州の列車時刻表本やトラベラーズチェックを通じて日本の旅行者にもなじみ深い存在だった。そのどちらももう使わなくなったとはいえ、CookがくじけてCrookになってしまうのはやっぱり寂しい。

photo 2020年の旅行トレンド予測記事を出したThomas Cookだが、自分の未来は見えていなかった

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