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» 2019年11月14日 07時59分 公開

少ない画像データで「欠陥品」を高精度に判別、オムロンが製造業向けにAIの新技術 (1/2)

オムロンが、工場の生産ラインで部品の傷などの欠陥を抽出する画像認識AI技術と、機械学習モデル同士を統合させてAIの精度を高める独自技術を開発。製造業の現場が抱える課題を解決する狙い。

[周藤瞳美,ITmedia]

 オムロンは11月13日、製造業の現場が抱える課題解決に向け、2つのAI技術を開発したと発表した。工場の生産ラインで行う外観検査を自動化する画像認識技術「欠陥抽出AI」と、機械学習モデル同士を統合させてAIの精度を高める独自技術「Decentralized X」だ。欠陥抽出AIは同社の画像処理システム「FHシリーズ」に搭載して提供する。2020年春に発売する予定だ。

傷の検査に特化、熟練者の“目”の代わりに

 欠陥抽出AIは、工場の生産ラインおける機械部品などの外観検査を自動化する画像認識技術。これまでは熟練作業者の目視に頼っていたが、人手不足や人件費の高騰などもあり、自動で傷などの欠陥を判別できるようにした。

 同社が外観検査の現場で培った経験とノウハウを生かし、独自にAIを開発。AIが手持ちの画像データから学習すべき画像を自動判別し、10枚前後の画像を学習させるだけで高精度に傷を検出できるという。画像処理を工夫し、従来の技術ではノイズが多くて判別困難だった傷も分かるとしている。

オムロンの竹川肇部長(インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 センサ事業部 第2開発部)

 オムロンの竹川肇部長(インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 センサ事業部 第2開発部)によると、欠陥抽出AIを搭載した画像処理システムは、会社で使われる一般的なスペックのノートPCで十分動作する。

 熟練作業者の人手不足や人件費の高騰などもあり、同社はここ30年でカメラを使った画像処理システムによる検査の自動化を推進してきたが、「それにも限界があった」と竹川部長。「良品」の定義にばらつきがあったり、検査対象が多岐にわたったりする場合は、不良品を判定する精度が落ちてしまう。加えて、システムを自社の工程に適した形で調整するのに専門知識が求められる点もネックになるので、画像処理システム導入をためらう企業は多いという。

 そうしたニーズに応えるためのAI技術だが、竹川部長は「AIも万能ではない」と慎重だ。「期待は高いが、ファクトリーオートメーション(FA)の現場に導入しようとすると99%以上の高い認識率が求められる。不良品を見逃してはいけない一方で、良品を不良品と判定してしまうようでは生産性が落ちてしまう。このバランスがポイントとなる」(竹川部長)

 企業はAIを検査工程に導入するに当たり、品種の追加などに合わせてAIを再学習・再調整しなければならない。また、AI技術を搭載した高性能のコンピュータをFAの現場に導入することは、コスト面においてもまだまだハードルがあるといえる。

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