帝国データバンクは3月30日、新電力会社の倒産が2021年度は過去最多の14件に上ったと発表した。直近1年以内に電力小売事業から撤退した事業者を含めると31社に上る。
倒産は前年度(20年度)の2件から急増した。年度を通じて倒産が2桁に達したのは初という。
電力小売事業からの撤退も増えている。21年4月に確認できた新電力約700社のうち、約4%に当たる31社が過去1年間で倒産や廃業、事業撤退などをしていた。
帝国データバンクによると倒産した新電力の多くは自前の発電所を持たず、調達の多くを卸市場に依存していた。21年冬の市場価格高騰で電力調達コストが大きく上昇し、不足インバランスの支払いが発生する事業者が相次いだ。F-Power(東京都港区)のように会社更生手続きを申請する企業もあった。
その後も電力調達価格は下がらず、秋以降はLNG(液化天然ガス)などの高騰で卸電力価格は再び高値で推移。昨年のインバランス発生で経営余力を削がれた新電力各社の経営を直撃している。直近ではホープエナジー(福岡県福岡市)が破産手続きを開始した他、エルピオ(千葉県市川市)が4月末でサービスを終了する。
帝国データバンクは「新電力各社も値上げに踏み切るなどの対応が求められるが、安値で差別化を図ってきただけに十分な価格転嫁ができない可能性もある」と指摘。「市場価格上昇に耐えきれない事業者の倒産が今後も発生する可能性が高い」としている。
※1)不足インバランス:電力小売事業者が一定時間以上必要な電力を供給できない場合に電力会社が融通し、後で料金を請求する仕組み。ペナルティの意味を含め通常より高額に設定されている
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